[読書メモ]『保育園義務教育化』(古市憲寿)2
再読した。
前回の読書メモ:
[読書メモ]『保育園義務教育化』(古市憲寿) – 読書ナリ
https://dokusho.nary.cc/2021/10/31/reading-notes-hoikuen-gimukyoikuka/
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p15
みんな少子高齢化が何となく問題だとは認識しながら、それで日本が「本当に極めて恐ろしいことになる」とは本気で思っていないようなのだ。
p16
泣き叫んだり、言うことをきかない時に絶対に虐待をしないと誓えるか?
pp24-25
保育や少子化は何も子どもを持っている人だけの問題ではない。子どもが産まれない国は、いつか亡びる。
p42
「母乳教」をはじめ、育児の世界にはとにかく0か100かの戦いが多い。
p43
しかしこれが育児の世界になると「母乳が絶対に正しい」派と「粉ミルクが絶対に正しい」派の宗教戦争になりがちだ。/「自分が絶対に正しい」と主張する人同士の戦いは永遠に終わらない。
p48
「私たちが若い頃は子育てに文句なんて言わなかった」という人がいるかも知れない。だけど、そういう批判をする人が忘れていることがある。/子どもをめぐる環境は昔とまるで変わってしまったのだ。/かつては、子育てを祖父母が助けることは珍しいことではなかった。しかし、厚生労働省の調べによると、児童のいる世帯のうち三世代家族の割合は約16%にまで下がっている。親世代と子ども世代の別居化が進んでいるのだ。
p50
社会との接点をきちんと持っているお母さんは、育児不安が軽減されているという多くの研究がある。
pp50-51
誰もが無料で電話相談ができる「育児ホットライン」などもあるが、CMをガンガンやっているわけでもないので、それを知っているのは「情報強者」のお母さんくらいだろう。
p57
「シュタイナー教育がいい」「外で思いっきり遊ぶのがいい」「一汁一菜で育てるのがいい」「東大に行く子どもは納豆が好き」など、育児書を見ると本当にたくさんの「子育てにいいこと」が列挙されている。
p59
保育や育児の世界では、トンデモ本が当たり前のように流通している。/またデータが古い本も多い。
p62
たとえば、税制政策や経済政策において「私の経験から」発言するような大臣はいない。/しかし教育政策では、とにかく偉い人たちの「私の経験」が幅を利かせてしまうというのだ。
p64
どうやらアメリカでは日本と違って、もっとエビデンス(きちんとした根拠)基づいた教育理論が研究されているらしい。
p78
デンマークの高校卒業試験では、試験的にパソコンの持ち込みとインターネットの使用が認められているという。
p79
誰もがスマートフォンで世界中の情報にアクセスできる時代に、ただの「学力」の価値は、昔とは比べものにならないくらい下がってしまった。
p85
恵まれた家に生まれた人が英才教育を受けること自体は否定しない。だけど、僕はそれよりも「社会全体のレベル」を上げたほうがいいと思っている。それが「保育園義務教育化」というアイディアなのだ。
p86
ペリー幼稚園プログラムの「社会収益率」は7%から10%と計算されているという。つまり4歳の時に投資した100円が、6歳になった時に6000円から3万円になって社会に還元されているということだ。
pp99-100
戦後しばらくは男性たちが仕事の時も、夏はジャケットを着なかったり、ネクタイをしないのは当たり前だった。「クールビズ」なんて言葉がなくても昔の日本の規範はとっても緩かった。/それがオフィスビルに冷房が整備される中で、夏でもスーツにネクタイというのが、「サラリーマン」の常識になっていく。
p103
そりゃ、母親ばかりを見ていればほとんどの病気の原因が「母親」に見えてくるのも不思議はない。しかし本当は、病院に子どもを連れても来ない「父親」に原因がある家庭も多かっただろう。
p121
何度でも繰り返すが、この国は今、未曽有の少子化の中にいるのだ。
p121
大事なことなので何度でも言うが、少子化解消に貢献してくれた上、労働力になってくれるお母さんたちが、保育園探しに忙殺されるなんて事態は異常だ(いくら少子化問題を語っていても、この事態が異常だと思わない人を僕は信じられない)。
pp145-146
「男性が16時間働き、女性が専業主婦という社会」よりも、「男性も女性も8時間ずつ働き、共に育児や家事をする社会」のほうが、はるかに人間的だと思わないだろうか。
p148
「男性」の職業が減少し、「女性」の職業が増加した2000年代
p151
もはや男性であっても、「将来のために今は辛くても頑張る」という発想から距離を置き、身の丈にあった現実を受け入れつつあることの証拠だと思う。
p153
戦争が起こったわけでもないのに、これほど急激に人口が減っていく社会は歴史上ほとんど例がない。
p154
「働く女性が増えると日本の伝統的な家族が崩れる」なんて妄言を吐く人もいるが、このままでは伝統的な家族どころか日本自体が崩壊してしまう。保守派の人ほど少子化を真剣に考えるべきだ。
p163
そして「非認知能力」は集団の中でこそ磨かれるものだという。だから、育児は家でひっそりするよりも、みんなの中でしたほうがいい。
p178
取るべきではない人から税金を取りすぎ、それが必要な人に行き渡っていないのだ。
p185
数ヶ月前には知らなかったこと。それは、今では、一人でも多くの人に「知って欲しい」と思うことばかりだ。