前回のエントリーはこちらだ。

[Mac][iPad] Zoom を録画する1 – 読書ナリ
https://dokusho.nary.cc/2021/03/11/recording-zoom-conference/

まとめると次の3点となる。
・Zoom での会議やセミナーを録画したい。
・Mac だけでの録画は失敗することがあるので、バックアップとして同時に iPad でも録画したい。
・iPad で相手の音声と自分の音声を、別チャンネルで同時に録音できる録音機がほしい。← 今ココ

私は現在毎日のように使っている録音機が Roland R-05 だ。

Roland – R-05 | WAVE/MP3 Recorder
https://www.roland.com/jp/products/R-05/

参考:
録音ブーム – 読書ナリ
https://dokusho.nary.cc/2020/04/20/fun-of-audio-recording/

Roland R-05 はコンパクトだし高音質だし、普通に録音するにはほとんど問題がないんだが、複数トラックでの録音ができない。そこで今回、複数トラックの録音ができる Zoom H5 を入手した。

H5 | ZOOM
https://zoomcorp.com/ja/jp/handheld-recorders/handheld-recorders/h5/

もう、お手軽な録音機というよりも、プロ向けの機材といった感じだ。

商品を手にする前から想像していたが、大きいです。大きくて仰々しいので、セミナー等での録音は今まで通り Roland R-05 を使うことになりそう。

単3アルカリ電池2本で 15 時間以上バッテリーが持つと公式には書かれているが、電池残量の表示はすぐに減る気がする。しかし試してみるとフル充電で6時間の連続録音ができた(それ以上の時間は試していない)。私が参加するセミナーは長くて5時間程度なので十分バッテリーは持ちそうだ。なお、6時間 12 分録音して、ファイルサイズは 1.99GB だった(WAV 44.1/16、XY マイクのみ)。

トラックを分ける MULTI FILE MODE だと wav でしか保存できない。全トラックを1つのファイルにする STEREO FILE MODE では mp3 として録音できるのに。長時間録音だとファイルサイズが大きくなる。まあ、SD/SDHC カードが 32GB まで対応しているので録音自体は大丈夫だけど。

セミナーで使いづらい理由は大きさ以外にも、録音中のランプが消せないことが挙げられる。録音中のインジケーターランプと、入力ソースを示すランプが常時点灯し消せないようになっている。ひっそりと録音するのが難しい。画面のバックライトは消せるが、バックライトなしだと見えにくい。この点、Roland R-05 はすべてライトを消せるし画面も見やすい。

Roland R-05 は起動時間が8秒ほど掛かり、遅さがデメリットだったが、Zoom H5 はもっと遅い。10 秒ほどだ。その後入力ソースを選択して録音開始ボタンを押すとなると、トータルで録音開始まで早くて 10 数秒掛かる。高性能の録音機というは高速起動は難しいのかな。

参考:
Roland R-05 の起動時間計測 – 読書ナリ
https://dokusho.nary.cc/2020/04/21/roland-r05-startup-time/

そして肝心の iPad での Zoom での録音はまたひと手間必要だ。XY マイクで自分の声を録音し、同時にライン入力で iPad からの相手の音声を録音しようと考えていた。しかし、XY マイク横のライン入力の録音は、XY マイクでの録音と同時には使用できないのだ。これはマニュアルには分かりやすく書かれていないし、ネットでも情報がなかった。購入前にサポートに問い合わせたが返事はなし。えいやと買ってみたら案の定同時録音はできなかった。

ではどうするかというと、ライン入力は XLR/TRS コンボ入力の方を使えばいい。XLR/TRS コンボ入力と XY マイクの同時録音はできる。となると、オーディオミニプラグと XLR/TRS コンボ入力端子の変換ケーブルが必要になる・・・。仕方ないので別途購入した。

これで無事に複数トラック録音ができるようになった。録音中は物理的なツマミで入力レベルを調整できるのが使いやすい。

なお、XY マイクとライン入力の同時録音ができないこと以外にもマニュアルには載っていない仕様があった。それは、入力ソースを録音中に変更できないということだ。録音中に入力ソースを追加したり減らしたりはできない。

Zoom 会議ではないが、FaceTime で実際に録音を試してみた。ちゃんと自分の声と相手の声を別トラックで録音できた。iPad の画面録画をすることで、Mac の Adobe Premiere Pro を使用して、動画と音声を合成することも問題なくできた。

映像と音声の同期には少し苦労した。最初に、パチンと手を叩くようなことをして同期用の “マーカー” を入れておくといいだろう。手を叩くことがカチンコの代わりにするわけだ。動画編集の際に、手を叩く瞬間の映像と音声波形の盛り上がった部分を一致させれば同期が簡単だ。

参考:
#092 ポッドキャスターのための Audition 講座 | Creative Cloud 道場 – YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=JPllG_zff4c

FaceTime の録画がうまくいったので、Zoom も同様にできるはずだ。

配線および録画・録音の仕組み。

Zoom H5 は完璧に iPad の Zoom や FaceTime 等を録画するには重宝するが、おそらく普通の人にはここまですることは不要だろう。わざわざトラックを分けて録音するまでのこともないはず。今回のレビューはこだわる人向けのヒントになれば幸いだ。

Zoom H5 は商品としてはかっこいいし音質はもちろんいいし、問題はない。ただ、はやり大きさが一番のネックだ。カバンに入れたままの状態で録音するようなこともカバンの中での固定が難しそう。カジュアルに録音するのには向かない。気軽に録音するなら、今まで通り iPhone や Roland R-05 を使うのが良さそうだ。

開封写真、商品写真はこちら。
https://dokushonary.material.jp/pics/#16149492088834