うちの弟は地方の大学で准教授をしている。彼が海外の有名雑誌に投稿するので、そのカバーレターの英文添削をしてほしいと言ってきた。カバーレターというのは、「私の論文を雑誌に載せてください」ということを書いた、論文に添付する添書である。

私はイギリスに留学し、英文学科を卒業し、大学院でも言語学を先行した。翻訳の仕事をしたりもしていた。一応英語ができるということになっているので、弟が頼ってきたわけだ。

カバーレターは A4 2枚程度だし、雑誌に載せてと懇願するだけの内容なので、英文添削は簡単・・・というわけではない。論文の要旨をまとめてあり、それは先端物理の内容なのでチンプンカンプンだ。

とりあえず弟が書いたその他の論文を集め、その要旨をざっと読んだ。どんなことをやっているかを知るためだ。

また、そもそもカバーレターの書き方も勉強する必要があるので、書店で海外論文に投稿するためのカバーレターの書き方が書いてある本を探した。これが意外と見つけるのに苦労したし、ちょろっとしか書いていない。海外論文に投稿するレベルの人はあまり本で書き方を調べたりしないのかな。

それでもやっぱり訳が分からなかったので、弟に日本語訳と説明図を付けてもらった。これでなんとか完成した。最初さっぱりだったけど、何度も読んだり、書店へ行って資料を探したりしているうちに、だいたい分かってくるんだよ。

弟は the を多用しているんだけど、どうも使い方が怪しい。これは内容を十分に理解しないと判断できないので、the が何を指すのか再度見直すように指示したりもした。

特に役立ったのがイギリス留学で学んだことだ。私が学部生時代に大学を1年休学してイギリスのノッティンガム大学に留学した。前半の半年は語学研修で、後半が大学の授業の聴講だ。語学留学は大学付属の語学研修セクションで学んだ。ここが重要なことである。

通常語学留学というと町の語学学校に通うことになる。これだと普通の生活用の英語や、せいぜいビジネス目的の英語を学ぶことになる。だけど、大学付属の語学研修となると、「イギリスの大学でサバイバルするための英語」を学べる。要するにアカデミック・イングリッシュが学べたのだ。これは留学後、卒業論文を英語で書いたりする際や、通常の日本語で論文を書くことにまで大きく役立つことになった。

そして、こうやって現在弟の英語をチェックした際も、その時のアカデミック・イングリッシュ的観点からチェックすることができた。

だから、特に大学生が語学留学するのなら、大学付属の語学研修センターのようなところで学ぶことを強く勧めたい。

ちなみに、今回の英文添削で参考文献を買ったりしたのでお金がかかったことだし、お礼として弟にちょっと高めの本を買ってもらえることになった。

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