[読書メモ]『聖書を語る』
- 読書
- 2017/02/11 Sat 08:30
p11
心の中では、おかしいと思いながら、浮き世の義理や人間関係に配慮して、黙っていたために犯した自分の過ちについて考えた。
p12
結局、人間は人生でいちばん最初に触れた世界観的思想の刷り込みから逃れることはできないのだと割り切っている。
p21
逮捕されて世にもひどい目に遭ったけど、最後は大丈夫だと。俺にはむかってくるというのは、きっと悪魔の手先で、こいつらが選ばれていないことは確かだ。こんなふうに思って獄中に座っているから、全然気にならないんです。
p23
努力するのは人間として当たり前のことで、努力したから成功するというような発想自体を人間の思い上がりと考えます。
pp35-36
当時の人たちとは時間の流れの感覚が違うからです。一年一年同じように年輪が重ねられていると感じるのは、我々現代人だけです。今だって、イスラム原理主義の国だと、ムハンマドが現れたのは昨日のことのように感じている。その時間のリアリティの感覚が現代人と違うんです。
p46
イスラム教のように入りやすいが出るのはきわめて難しいという、こういう非対称の構成をもつ組織は怖いですよ。
pp47-48
肉を焼く煙が空に上がり、神様と共に食べているということなわけ。神と共食をする。そういう刷り込みがあるから、あの人たちは野外でものを焼くのが好きなんですよ。
p51
処女ということが誤訳から出てきた解釈であることは、文献的にほぼ確定しているにもかかわらず、教会の平和のためには敢えて議論しないことになっているわけ。[…]それが今の神学における主流の立場ですね。
p63
僕は小説というのは近代的な現象だと思う。時間の分節化をすることによって、点と点を繋げて物語をつくるという作業は、作者が神になって行う仕事だとも言えますからね。
p98
人間に二通りあるの。そのスノビズムを隠す知恵があるやつと、剥き出しでいるやつと。あとのほうはそれほど出世しない。敵が増えちゃうから。
pp101-102
あちらではスープは「イート」するものでしょ。日本人は「ドリンク」する感覚なんだけど、日本以外では「食う」なんですね。
pp122-123
中国人というのは、危機を察知したら逃げ出すことでサバイブしてきた民族なんです。
p125
私は菅直人ってひと、好きか嫌いかでいうと大嫌いなんですね。人間としてチャーミングなところがなく、尊敬できるところがまったくない。私は人と初めて会うときは、その人の尊敬できるところを必ず見つけるんだけど、たぶんホステスさんなら彼のネクタイかカフスボタンを褒めるしかないような(笑)、彼はそんな類の人だと思うんですよ。
p132
あの急に切れたりだらしのない感じ、あれは我々日本人の標準的な姿なんですよね。
p158
その理屈の中にひそむ暴力性について自覚のない男性、特に保守系の男性が多いでしょ。僕が嫌いなのは、論壇の一部にあるあのマッチョ的な雰囲気なんです。
p170
宗教の力とは何かといえば、シンボル操作なんです。[…]無関係なものを関係付けることによって、それを教えのパワーにする。
p176
結局、みんなの宗教に対するイメージはカルト集団であって、そこの信者は洗脳されて思考停止になっているって。
p78
あるいは洗脳と意識させないような、もっと巧みな洗脳が行われているとも言えますよね。
p78
我々にとって最大の洗脳は「貨幣」ですよ。
p186
プロテスタントは、ある種の疑似家族的な感情の下に繋がろうとする傾向があるじゃないですか。
p204
世の中には、外側があることに気づく人と、気づかない人がいるんですよ。
p219
僕らが考えなきゃいけないのは、死を思い描いて、そこから自分の人生を考えることだと思うんです。
p230
中村うさぎさんは、もはや神を信じていないという。しかし、本人が主観的にどう考えるかとは別の位相で、キリスト教信仰は成立するのである。