[映画]『正欲』

稲垣君が出るので観てきた。

映画『正欲』公式サイト
https://bitters.co.jp/seiyoku/

端的にまとめると、<普通な人>と<普通でない人>の断絶を描いた話。オムニバスでそれぞれの人の生きづらさが描かれている。

久しぶりに見たガッキーは普通のおばちゃんになってる。オーラがないなあと思っていたけど、最後まで観ると彼女がとても魅力的なな存在に思えてくるのが不思議だ。映画の最初と最後で主人公の印象が変わるのはいい映画だ。

広島が舞台の一つで、ガッキーが少し広島弁を喋っていた。

「やっぱりいつもの稲垣君のキャラか」と思っていたら、今回はすごく嫌な感じを演じていた。こんな稲垣君見たくなかった。奥さんとうまくいっていないところが『窓辺にて』と同じだ。

オムニバスだけど最終的には話が交差するってのはよくあるプロットだ。

「完成予定 2019 年」と書かれた看板があることで、さりげなくいつの話なのか伝えているのがうまいが、2度その看板が出てきたところからわざとらしい。

何回も回転寿司に行くガッキー。そういうギャグだよね。

原体験的なセックスにキュンとした。

田舎の閉塞感は広島の田舎出身者としてよく分かる。排他的な田舎は<普通でない人>にはますます生きづらい。広島の福山が舞台だったけど、福山は広島以外の人は普通知らないはず。それぐらい田舎だ。でも今住んでいる名古屋ですら都会のようで田舎だったりする。大学院生時代のようにまた東京に住みたい。

<普通に生きられる人>には(それなりに)楽しい世の中。でも<普通に生きられない人>には苦しい世の中。分かる。作中でも言われていたように、<普通の人>は<普通でない人>の前から「いなくなってしまう」んだよな。そこが<普通でない人>に絶望を生む。

世の中には<普通にできない人>がいることを想像すらできない人がいる。映画のなかでさらっと言われていたが、パワハラを受けたという話も(僕を含め)よく<普通じゃない人>が受けることだ。

単なる「<普通じゃない人>を尊重しましょう」というイージーな話にせず、あえて犯罪者を混ぜることでバランスをとっていたのがよかった。

少数者が繋がれるのがネットのいいところである。さらに、大学もそういう場になり得ると気付いた。大学生というのは若いし自由に動ける時期だから。大学生のときに気付きたかった。

流行っていることをやるのは搾取されるだけだ。だから僕は YouTuber の真似事はしない。では自分の息子が YouTuber になりたいと言い出したらどうするか。僕なら「人の 10 倍、100 倍やるように」と言うだろう。人と同じことをするなら圧倒的ナンバーワンになればいい。たぶんその発想が僕が普通じゃないということだろう。

楽しい映画じゃないけど、生きる救いになる話だった。観終わったあともずっと映画のことを考えてしまう。映画中よりも観終わったあとに、じわりじわりとその魅力が分かってくるタイプの映画だった。もう1回観に行きたい。

映画のあとそのまま帰宅して日常に戻る気分になれなかったので、買い物をして街を歩きながら映画のことを考えたりした。

今回も最前列。『ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE』以降の僕のデフォルトになってる。「オレの映画館」という気分で観れる。

評価:5/5

鑑賞日:2023-11-12(日)9:25~11:50
映画館:TOHO シネマズ赤池
スクリーン:スクリーン 10
座席:指定席
料金:2000円(オンライン予約)

Amazon.co.jp: 正欲(新潮文庫) 電子書籍: 朝井リョウ: Kindleストア
https://amzn.to/49rGCnH

共有 :

関連するかもしれない記事:

[読書メモ] “The How To Be British Collection”

Section 6 I’m sure they’re doing their best, dear. Section 13 The visitor should take note of these ‘terms of endearment’ as they give important clues about how the speaker sees you or the sort of relationship he wishes to establish.

続きを読む

[KALDI] チェス缶チョコチップパイ

KALDI は無印やユニクロ的な店員教育がなされているので、嫌な思いをすることが少ない。ときどき行っている。

続きを読む

「<今したいこと>に思いつくままに従うべきか」問題

100 日チャレンジを終え、その総括を書いた。

続きを読む