ずっと気になっていた “The Queen’s Gambit” をやっと観た。7話しかないのですぐに観終えれた。

The Queen’s Gambit | Netflix Official Site
https://www.netflix.com/jp-en/title/80234304

めちゃくちゃ面白かった。

最初は iPad で観ていたが、途中からパソコンの大画面で迫力ある映像で観始めた。以前紹介した、LED ストリップライトを使った部屋を真っ暗にした視聴方法だ。

自宅映画鑑賞用にモニターに LED ストリップライトを付ける – 読書ナリ
https://dokusho.nary.cc/2021/01/31/led-strip-light-on-display/

私は小学生の頃からチェスをやっていたので、またチェスをやりたくなった。

話が壮絶すぎるし、ちょっとホラーチックな感じもあってこわい部分もあった。

子どもを薬漬けにするのは、子を持つ親として別の意味でホラーだった。

子どもに薬を与えていたのはおとなしくさせるためだろう。ひどい話だなと思っていたら、そういえばうちの父親も同じようなことをしようとした。私が幼児のときアメリカへ行く飛行機で、騒いだら睡眠薬を飲まそうかと思ったという。あと少しで私は殺されていたのだ。数年前それを何の悪びれることもなく語る父に引いた。父は頭がおかしい。

話を戻そう。

子ども時代のトラウマをずっと背負っているベスを見て、子どもは大切に育てたいと思った。

天才の話は好きだ。また、階級を上がっていく感じが上昇志向の私は好きだ。

子ども時代の虐待的体験や学校でのいじめシーンがあるから感情移入しやすい。第1話からグイグイ引き込まれた。

主人公たちが抱える閉塞感に胃にキューッと痛くなるような感じがした。

一見うまくいっているようで、危うい土台の上に成り立っている。いつか壊れるじゃないかとドキドキする。

<抑圧>の上に成り立った生活は危うい。

チェスの具体的な内容には触れないから、チェスのルールを知らなくてもドラマを楽しめる。でもルールを知っているとさらに楽しめると思う。たとえばチェスにちなんだ各話タイトルになっているところとか。

チェスってかっこいいとも改めて思った。

カーボーイハットの彼はどこかで見たと思ったら、『ラブ・アクチュアリー』のあの少年か! Thomas Brodie-Sangster 君。経歴を見ると “Thunderbirds Are Go” の John Tracy の声優をしてた。注目の俳優だ。

Thomas Brodie-Sangster – IMDb
https://www.imdb.com/name/nm1032473/

参考:
3DCG 版 Thunderbirds Are Go を観終えた – 読書ナリ
https://dokusho.nary.cc/2021/03/13/watched-all-episodes-of-thunderbirds-are-go/

予測不可能な展開。第1話の続きが第6話で出てきて、bookend 型(最初に最終シーンの一部を見せる手法)で最終回を迎えるんだなと思いきや、最終回は別の話になった。とはいっても、本作を含め、アメリカ人のチェス・プレイヤーが主人公だと必ず最終ボスはロシア人だ。“定石” どおりだ。

ひどい人がたくさん出てくるので、最終回で、ホテルが盗聴されてるんじゃないかとか、ジャーナリストの旧友が実はスパイじゃないかとか疑ったりしがたそういうことはなかった。純粋に人を信頼できる話で終わったのは嬉しい。エンディングは爽やかで爽快だった。

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私はチェスを小学校の頃始めた。昔からマインド・ゲームが好きだったので、ルービックキューブやシャーロック・ホームズが好きなのも、頭を使うことと関連しているからだ。

将棋も少しやったことがあるが、西洋のチェスのほうが私にはかっこよく思えた。チェスはときどき思い出してはやるけれどすぐ飽きる、ということを繰り返している。

近年は自分が本当に好きなことを見つけるため、子どもの頃好きだったことに再挑戦している。だからこのブログでもけん玉やルービックキューブ、シャーロック・ホームズについて書いてきた。

チェスは子どもの頃十分に好きだったけれど、大人になってからのやり直しに踏み切れていなかった。それは<発展性>がないように思えるからだ。私にとっての発展性とは、その分野でナンバーワンになる、あるいはビジネス化することである。

まずチェスは長い歴史があり、すでに厚い層が全世界にいる。私が純粋にチェスの腕前を上げ、そこに入り込むのは困難だろう。私はナンバーワンになれないことはしたくない。

たとえ腕前をあげられなくても、ビジネス化することで優位性を獲得することもできる。数年前にマイブームになっていたけん玉は、けん玉自体はスキルアップは頭打ちすると気付いたのでビジネス化へ方向転換し、けん玉の日英・英日辞典を作ったりした。なお、けん玉に関しては日本けん玉協会に頭にきたことがあったので、今後一切やらないと決めている。

チェスでビジネス化はできるだろうか。今のところアイデアが浮かばない。

ナンバーワンにもなれず、ビジネス化もできないなら、単にエンターテイメントとしてチェスをやるだけなら、私のことだからすぐ飽きると思う。だから、チェスへ傾倒するのは慎重だった。

ただやはり、このドラマを観たら、チェス、したくなるじゃないですか。

想像通り、このドラマの影響で世界的なチェスブームが起きているようだ。あまのじゃくの私は、ブームに乗ったら負けだと思っている。

それとチェスは泥沼だ。定石の暗記といったことを、40 直前の私にバリバリできるだろうか。

ドラマを観ながらも、前半は<チェスをやりたい熱>が燃えていったが、後半になってくると冷静になってきた。

しかし__純粋にに遊びとしてチェスをやるのもいいかもしれない。

ブームに乗っかるだけでもいい。ビジネスに結びつかなくてもいい。弱くてもいい。かっこいいからやってみたい、という純粋な動機でチェスに取り組むのもいいかもしれない。合理的な動機だけで動いていたら人生面白くないじゃないか。単なる趣味を持つのもいい。そして、子どもの頃から好きだったということは、何かしら自分を知るいいチャンスになるかもしれない。

チェスが巷でブームになっているといっても、ドラマを観て本気で始める人は少ないと思う。一時的に興味を持つ人は増えただろう。でも、今チェスを始めた人で3年経ってまだやっている人はほとんどいないはず。

夢は大きく持ちたい私としては、いつか東欧の美女とチェスをプレイしたいと思うようになった(ワイフには内緒である)。それが大きい夢なのか小さい夢なのかは分からないけど。

気がかりなのは、チェスはほんらい人相手でやるスポーツであるということだ。チェスを始めると、いずれ人相手でやりたくなるだろう。私のことだから相手がいなくてモヤモヤする時が来る予感がする。地元のチェスクラブに乗り込む勇気は出るだろうか。

それと、私は<やりたいことがたくさんありすぎる>ことが悩みなのに、またやりたいことが増えてしまう・・・。

手始めに押し入れからチェスセットを取り出し、何年かぶりにピースをボードに並べたら、並べ方を忘れかけてた。それぐらい久しぶりだ。

チェスを始める気になったのは思いつきなので、やるかもしれないけれど、やらないかもしれない。次は、チェス関連の本はいくつか持っているので再読しよう。新しい本も買いたい。チェスは和書が限られているので洋書も買いたい。英語の勉強に繋げるのもいいかもしれない。