[読書メモ]『生活の発見』

p8
本書は、ゲーテの「三千年の歴史から学ぶことができない者は、その日暮らしの生活を送っているにすぎない」という信条への敬意からから執筆した。

p57
会話がないことは今日ではそれほど珍しいことではない。ほとんどの家族で会話をする技術が磨かれていないからだ。

p81
沈黙を尊ぶことの背景には、宗教と共に地理的な理由もある。「スカンジナビアの人たちは、話をするのは言うべきことがあるときだけ、という考え方をしている」とコミュニケーションの専門家は言う。つまり、口数が多いのは利己的なことであり、信頼できないと思われるのだ。ヨーロッパでももっとも無口な人の多い国フィンランドで、家族間の活発な会話を期待しても、それは無理というものだ。

p104
「イスラム原理主義者」、「裕福な銀行家」、「シングルマザー」などの言葉は、憶測や偏見にまみれていることが多い。

p113
感情移入の能力を高めるために、会話に続いて二番目に取り組むべきことは、新しい経験をして自分を試すことである。

p139
人にやる気を起こさせる最重要の目的とは何か? 仕事の歴史では次の4つが際立っている__自分の価値観を原動力とする仕事、有意義な目標を追求する仕事、尊厳を得る仕事、そして己の才能を申し分なく発揮できる仕事である。

p140
「たとえ小さなことでも、助けを必要としている人のため、お金ではなく名誉を得るために何かをしなさい」

p171
歴史家で哲学者のルイス・マンフォードは、このような変化を目の当りにして、「現代の産業化時代の鍵を握っているのは蒸気機関ではなく時計である」と結論付けた。

p195
歴史上初めて、物を買うことが一種の娯楽になっている。

p196
消費社会においては、なにを買うかということが、いちばんわかりやすい自己表現である。

p272
芭蕉から学ぶ最後の教訓は、さまよい人として自分を磨くことである。

p337
「なぜ人は神を信じるのか」という質問に対する最良の答えは、今も「神を信じろと教えられたから」である・・・・・・信者の大半は、なんであれ現在従っている伝統のなかに生まれた・・・・・・多くの個人が、子どもの頃に特定のコミュニティで、特定のアイデンティティとして宗教を学ぶ。

p340
教会指導者が “クリスマス本来の精神” に戻るべきだと言うとき__ローマ教皇が演説でよく取り上げるテーマである

p348
現実が変われば、私は意見を変える。

p383
職人になる大きな利点は、「自分の仕事が楽しくなる」ことだとモリスは信じていた。人を無感覚にする専門的で単調な仕事よりも、工芸のほうが頭と手の共同作業を必要とし、「人間存在のすべて」を使うからだ。

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