【ジェリーフィッシュ】 | 第31回東京国際映画祭
https://2018.tiff-jp.net/ja/lineup/film/31YTT02

映画祭で観た2本目の作品。英語の予告編を観るだけでほぼ事前情報ゼロで観た。

予告編(英語音声のみ)
https://www.youtube.com/watch?v=o8-jtgz__R8

絶望的な気持ちになりました・・・。

底辺の暮らしをする高校生の話だ。いつも華やかなイギリスのいい面ばかり見ているせいもあるけど、暗い気持ちになって映画館を出た。

ヤク中の母親(クスリをやっている描写ないけど、明らかにヤク中)が、家計が絶望的になった時に急に作ったパスタ。それを子どもたちに食べさせるんだけど、何か毒でも入っているんじゃないか(一家心中的な意味で)とハラハラした。

そして特に主人公の女の子の演技がうますぎる。すごく真に迫っていた。最後の、全てを投げ捨ててやる「魂を込めたスタンドアップ・コメディー」が本当に感動した。

自転車で乳母車を引っぱるやつは日本では見かけないけど、日本のように荷台に乗せるより安定していいと思う。子どもができたらあれを買おうかな。

公式バーレー(Burley)自転車用ベビーカー,サイクルトレーラー
https://www.riteway-jp.com/bicycle/burley/

他にも日本と違うなと思うところは、イギリスは小5ぐらいまでは子どもだけで出歩くことが法律で禁止されていること。これを知らないと、映画の意味がよく分からない。映画では子どもだけで出歩いていて、知らない大人から「大丈夫? 両親は?」と聞かれているシーンがあるのだ。

イギリスは車のスピードの出しすぎを防ぐため、道路に少し山ができている。それを「減速バンプ」(speed bump)と言う。本作において繰り返し使われる減速バンプという言葉が重いです。役立たずという意味で「減速バンプにもなれない人」と言われていた。

やはり、頭のおかしい人と暮らすのはツラい。世の中について何も分からないティーネイジャーが、ヤク中の母親を持つのがどれほど恐ろしいことか。

そして痛感したのが、自分の本当にやりたいことは人に言ってはいけないこと。本作で主人公のサラは真剣に母親に、「私は本当にやりたいことを見つけたの。それはスタンドアップ・コメディアになること」と言うと、クソ親は「あんたがコメディアン? ウケるんですけど!!」みたいはことを言ってプーーーッと吹き出す。最低です。本当にやりたいことは、特に身近な人にこそ言ってはいけない。これは意外と盲点だ。身近な人ほど成長しようとする人の影響を受けるから、現状維持したいがために邪魔しようとするんだよ。繰り返そう。夢を人に語ってはいけない、特に家族はダメ!

サラが偉いのは、生活を乗り切るためにやっている手段は、知識がない故に間違ったことばかりしている一方で、自分の夢実現のためなら一番正しいことをしていること。面倒な学校の宿題もやるし、発表会の場にも現れた。夢を叶えるってこういうことなんだと思えた。映画に描かれていない、サラの今後にはすごく期待ができる!

閉塞感で胃が苦しくなる映画で、二度と観たくないと思ったけれど、かすかな希望を示してあるエンディングがせめてもの救いだった。映画『ふがいない僕は空を見た』と似ているところがあるね。

英語としても、訛りが強めでイギリスっぽかった。

映画祭らしく、上映後は拍手が起こった。

映画祭の監督への Q&A セッションは以下から観ることができる。

『ジェリーフィッシュ』Q&A  ジェームズ・ガードナー監督 |Jellyfish – Q&A – YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=1-V5MvzCo6A

右縦字幕。

評価:4/5

鑑賞日:2018-10-3(土)18:40~(101 分)
映画館:TOHOシネマズ六本木ヒルズ
スクリーン:スクリーン9
座席:指定席
料金:2300円(オンライン予約)プレミアムボックスシート
字幕版(字幕:中沢志乃)