[読書メモ]『シャーロック・ホームズの思い出』(河出書房新社)
- シャーロック・ホームズ , 読書
- 2018/04/10 Tue 06:09
pp6-7
パジットはドイルに最も気に入られたイラストレイターであって、「彼のホームズの絵に沿って物語を書こう」とまでドイルに言わせた画家であった。当時は写真印刷がまだなかったので、日本の浮世絵と同じく、彫り師が線に彫りあげたものが印刷されている。
p36
想像力が大事なのがわかっただろう
p56
ホームズときたら、いなかや海には全く魅力を感じなかった。彼は 500 万市民のロンドンの真ん中で横たわっているのが、何より好きだった。
そして、情報収集の細い糸をロンドン中に張りめぐらしておき、それに触れた解決を見ない難事件についての、あらゆるわずかな噂や疑惑の情報に敏感に反応するのだ。
p74
事件との関連で、わたしの名を挙げないようにしてもらいたいね。わたしとしては、解決が難しかった事件にだけかかわりたいのです。
p75
君も憶えているだろう、最初、この事件に立ち向かったときには、ぼくたちは全く、なんの先入観も持っていなかった。これが、いつでも役に立つ。
pp93-94
彼は、目的のない肉体の運動を、エネルギーのむだ遣いだと考えていて、何らかの職業上の目的がなければ、ほとんど体を動かそうとはしなかった。そのくせ、いったん仕事となれば、全く疲れを見せず、誰にも負けない活動力を備えていたし、ふだんろくに運動をしないにもかかわらず、体調をよく整えていた。
p158
彼は、ぼくがカレッジにいた2年間でつくった、たった一人の友達なのだ。ぼくはあまり社交的ではなかったのでね、ワトスン。
p168
ホームズ、ぼくはずっとがまんしてきた。けれども、もしかしたら、もう少し我慢しないで、自分の思いどおりに行動していたほうがよかったのではないかと、今になって気づいたのだよ。
p191
[シャーロック・ホームズは] ほとんど人間のなかで最も簡潔で整然としていると言っていいくらいだし、服装もきちんとしていて、趣味がよい。ところが、日常生活となると、一緒に住む者が耐えられないくらい、世界一だらしない男だった。
p191
もともとものごとにこだわらないボヘミアン的性格だった
pp196-197
ところでホームズ、君は、昔ぼくたちを驚かせていたあの力を、今は実用的な目的に使っているそうではないか
p216
男というものはね、女性が自分への愛を失ってしまっていることに、なかなか気づかないものなのさ。
p223
鉄のように丈夫なホームズの体
p280
今、暖炉の火を前に読んでいる、この聖書のことばと同じくらい、はっきりとです。
p297
患者は、どうも頭がいいとは言えない人で、何回もいいかげんな返事をしました。でお、これは英語がよくわからないためだろうと思いました。
p318
いいかね、ワトスン、ぼくは、謙遜が美徳の一つだなどと考えるやからには、賛成できないね。
p334
われわれには、独自の情報手段があるのです。
p342
あなたが警察の敵ではなく、味方だということは、ありがたいですな、ホームズさん
p351
ここには、手紙を読むわたしを感動させる何かがあった。
p371
「ああ、事件の謎ね!」ホームズははっと現実の世界に戻って、答えた。
p383
彼は、いったんそうと決めたら、アメリカン・インディアンのようにまったく表情の動きがない顔つきになるので、その顔つきからは、事件の現状に満足しているのかどうかうかがい知ることができなかった。
p401
「今回のあなたの事件で一番難しかったのは」と、ホームズは例の説教口調で言った。「証拠が多すぎるということでした。とるに足らないことが、最も重要なことを覆い隠していたわけです。[…]」
p427
彼は、社会をモリアーティ教授から解放できた、と確信したなら、喜んで自分の生涯を終わらせてもいいと、何度も繰り返し言っていた。
p442
「ギニー」という通貨単位は、弁護士や医者、流行の店での値段や支払いの額の表示に用いられた。
p448
ポーの作品を源とする系統の作品を書き、収入を得ている全ての作家達が、ポーの記念碑を作るために収入の 10 分の1を支払うとすると、記念碑はエジプトのクフ王のピラミッドの如き巨大なものとなるだろう。
p462
たとえ日常の仕事に忙殺されていない医師であっても、この雑誌の記事に関心を持つのは、医師としての良心の証でもあった。
p513
公式の記録としては、外交の場で用いられる言語は当時まだフランス語だった。
p535
たとえ自分の銀行口座を巻き添えにしても、こここそが哀れなシャーロックにこそふさわしい墓場だ、と考えたのだった・・・・・・
p552
物語の語り口という観点からすると、《最後の事件》は登場人物の活躍や、作品自体の緊迫感とも合わせて、コナン・ドイルが書いた短編集の中でも、最高の出来を示す作品の一つかもしれない。
p578
シンポジウムなるものの、一体何が作家の役に立つのかわからないのです。
p580
実際私は、執筆の契約をしたことは滅多にありませんでした。私は、何か自分を刺激する着想が生まれるまでは、じっと待っているのです。そして充分に仕事が進んでから、初めて版権代理人や出版社に知らせるのです。これは作家として最良の、そして最も幸福な仕事の進め方であると確信しています。
p584
ヨーロッパでは黄色は「差別の色」である。ユダヤ人も黄色い☆を旨につけさせられた[。]
p586
一般的には、「どうもつじつまが合わない」とか、「矛盾点が多い」「デタラメだ」「荒唐無稽だ」と感じられる作品ほど、作者の無意識があらわにさらけ出されているように思える。
【誤植】
p517 下段
誤:[意味のない改行あり。]