[読書メモ]『反社会学講座』

p88
サラリーマンとして出世するのも才能のうちなんですよ。音楽や文学で身を立てようと頑張ったけど自分の才能のなさに気づき、夢をあきらめてサラリーマンになる、なんてパターンがありますが、これは失礼な話です。なんだか、サラリーマンにはなんの才能も必要ないみたいないわれようじゃないですか。サラリーマンこそ、一流になるには才能が必要なのです。

pp143-144
 浜口恵俊さんは『「日本人らしさ」の再発見』で、日本語にはもともとコミュニケーションにあたる言葉がないため訳せない、と指摘しています。[…]
「え? 日本にコミュニケーションがない? そんなわけはないだろう」との疑問にお答えしましょう。近頃、日本の企業社会においても、コミュニケーションの重要性を強調する風潮がありますが、どうもみなさん、コミュニケーションの意味を拡大解釈してらっしゃるようです。
 英語の「コミュニケーション」は、「情報(知識や感情も含む)』をだれかに伝える・交換すること」という技術的な意味しかなかったのです[…]
 本来の「情報を伝える」という意味を表す単語は日本語にはないでしょう? 感情論が好きな日本人は、コミュニケーション本来の意味よりも、もっぱら「親ぼくを深める」というような意味で好んで使っています。ですから、「どうだね、たまには一杯やって、ノミニュケーションを深めるのも大事だよ」と、嫌がる部下のOLをしつこく誘う部長さんは間違っています。いえ、人間としてではなく、本来の言葉の用法として。
 […]日本で不用意にコミュニケーションを試みようものなら、組織から抹殺されかねません。若い人ですら、いまだに「空気を読めよ!」などと口にすることがあるのですから、日本人がコミュニケーションを余計なものとみなしているのは明らかです。
 日本人は古来、コミュニケーションなしで社会を成り立たせてきたのです。その秘訣は「適当」「いいかげん」でした。お互いの意見など聞かずになんとなくわかったつもりで済ませてきました。

p152
ルールで行動を縛るのは簡単ですが、長い目で見れば融通のきかない幼稚な人間が増えるだけなのです。

p229
 転職の回数が多いこともそう、テストを何度も受けられることもそう、会社を潰してまたすぐ作れたりするのもそう。アメリカでは何度でもやり直せるのです。ここ十年ほど「人生にリセットボタンはない」というセリフが日本では好んで使われていますが、アメリカ人なんて人生に何回、人生のリセットボタンを押すことか。手あかで汚れるほどリセットボタンを押しまくってます。
 ニュースのキャスターやコメンテーターは、犯罪予備軍を思いとどまらせる意味で「リセットボタンはない」といっているようですが、これは逆効果なんです。日本の場合、人生のリセットボタンがないために、精神的に弱い人間を袋小路に追い込んでしまいます。行き詰まってしまった人間は、もうダメだ、とばかりにヤケになって取り返しのつかない犯罪に走ったり、自殺したりするのです。

p368
やってもできない人のほうが圧倒的に多い

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