海外旅行では命の次に大事なのがパスポートだと言われる。でも、パスポートの管理を気を付けているつもりで、逆に盗難のリスクを高めている人が多いと私は思うのだ。

たとえば、ウエストポーチの中に入れる、首からぶら下げる、といった専用のケースに入れると、逆に危険だ。盗みのプロはそこにあることを知っているから、集中的に狙われてしまう。

外から見える場所に入れるのは「大事なものがここにありますよ」と示しているのと同じことになる。ウエストポーチもそう。旅行中母が iPhone をポケットから見える状態で携帯し「紐を付けているから大丈夫」と言っていた。こんなの泥棒から丸見えだし、カッターで切られたらアウトじゃないかと言っても変えようとしない。なぜか「大丈夫」と言う人は頑固に安心しきっている。ぼんやりした日本のおばちゃんが、iPhone などの高額の端末を持っていたら、格好のターゲットじゃないか。

家族の分をまとめて持つのも、盗まれた際に一気に家族全員分がなくなってしまう。各人の分散管理がいい。

保管方法以外にも、旅行中は質素な格好をすること。高価なもの、あるいは高価そうに見えてしまうものは身に付けない。

パスポートの保管場所として私はカバンの底がいいと思う。少々手を突っ込まれたりしたぐらいでは取り出せない。カバンの外側のポケットなど、簡単にリーチできる場所には、ティッシュなどのなくしてもいいものを入れるようにしている。

私は一度プラハで買い物中に、カバンのチャックを開けられて、手を入れられたことがあった。でも、カバンの底に財布を入れていたから何も盗まれずに済んだ。

しかし・・・もっと安全にパスポートを保管することができます。それは、鍵を掛けたスーツケースに入れ、ホテルに置いておくことである。

これは『海外パックツアーをVIP旅行に変える101の秘訣』(喜多川 リュウ、実業之日本社、2013)を読んで知った。

[読書メモ]『海外パックツアーをVIP旅行に変える101の秘訣』 – 読書ナリ
https://dokusho.nary.cc/2017/06/06/reading-notes-kaigaipacktourwovipryokounikaeru/

パスポートは肌身外さず持ち歩けと言われるじゃないか、という反論があるだろう。しかし、よく考えてみれば分かることである。「誰が」そういうことを言っているかに注目するのだ。

今回はイギリス旅行でツアーに参加し、パスポートは肌身外さず持ち歩けと言われた。旅行会社はなぜそんなことを言うのかといえば、持ち歩いている限り、パスポートがなくなったり盗まれたりした時に個人の責任にできるからだ。

もし「ホテルに置いておきましょう」と旅行会社が言ったとする。もし、ホテルに置いたことで盗まれたら、「ホテルに置いておけば安心だって言ったじゃないか」と旅行会社が責められることになる。最近は旅行会社を訴える人も多いと聞くので、そういう訴訟リスクを旅行会社は負いたくないんだよ。

前述の『海外パックツアーをVIP旅行に変える101の秘訣』の著者は旅行ガイドをしている人だが、本音で書いてくれている。本当はホテルに置くのが安全だと。スーツケースに入れて鍵をかけておけばいい。スーツケースごと持って行く泥棒はまずいないのだそうだ。少なくとも、ぼんやりした日本人がパスポートを腰に巻いたりして持ち歩くよりよっぽど安全だ。

私は本を信じて、今回の旅行中はずっとホテルのスーツケースの中にパスポートを入れていた。もちろん盗まれることもなかった。

本を信じて、自分の頭で考えよう。