[読書メモ]『セクシュアル・ハラスメント キャンパスから職場まで』

pp19-20
セクシュアル・ハラスメントはある意味ではとらわれた状況、閉鎖的な社会、つまりそこから逃げ出すには非常に重大な不利益を覚悟しなければならないというところで行われるわけですから、いわゆるキャプティブ・オーディエンス、つまり「とらわれの聴衆」と同様の状況に置かれています。

pp42-43
そのような差別が行われているとは思えない、あるはずがない、したがって存在しない、という論法で、結果として、確実に存在するかもしれない性差別を隠匿する効果です。

p40
その人がその会社で働いている場合には、自分が働きながら自分の使用者を訴えるというのは、これは非常に難しいわけです。

p65
セクシュアル・ハラスメントをセクシュアルな場合に限定することは非常に危険だ

p66
キャンパス・セクハラの場合に、特に対価型について被害者が訴えた場合、加害者は必ずと言っていいほど、まず事実関係を否定いたします。

p69
指導者というのはやはり知能面の発達を促進させるような環境の元で、クラスの学生らが勉強できる状況を作る義務を負わされており、彼らの知能面の発達の抑圧として学生に受け取られるような行為、こういったことは絶対にしてはならないというのが指導者の職業上の倫理であろうと思います。

p72
外部から弁護士の方をお願いするということが必要になってくるかと思うんですけれども。しかし、この人権委員会というのは、大学の中で何とかして処理したいというところに存在意義があるわけですから、そこが非常に苦しいのです。

p75
セクシュアル・ハラスメントというのはこの世界の中に純粋セクハラとして現れるわけではないですから、必ず複雑な背景をもった現実の問題として現れてくるわけですから、そのとき、そういうふうに概念上で区別していったものどうしを、もう一度結びつけて関連性を考えるというアプローチを特に社会学畑の人間はとるわけです。

p87
卒業してしまったら、今度自分と同じような被害者が出ないようにと思い、絶対に訴えたいという場合もあると思います。そういったときのことを考えまして、卒業してからでも、人権委員会に訴えることができるようになっています。

【誤植】
p66
誤:事実関係を否定いたましす。
正:事実関係を否定いたします。

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