p14
これは読書の領域に限ったことではないが、過去の自分の都合のいいように再構成する人間の能力というのはそれほど高いのである。

p14
「読んでいない」という概念は、「読んだ」と「読んでいない」とをはっきり区別できるということを前提としているが、テクストとの出会いというものは、往々にして、両者のあいだに位置づけられるものなのである。

p15
「読んだ」と「読んでいない」とのあいだの境界のこの不確かさを突き詰めていくと、そもそもわれわれは書物とどんな付き合いをしているかとう、より一般的な問題に行き着く。

p33
教養があるかどうかは、なによりもまず自分を方向付けることができるかどうかにかかっている。

p66
教養とは、書物を<共有図書館>のなかに位置づける能力であると同時に、ここの書物の内部で自己の位置を知る能力である。

p89
いかなる読者もこの忘却のプロセスを逃れることはできない。

p160
読んでいない本について著者自身の前でコメントしなければならない状況にある人間に与えられるアドバイスはただひとつ、とにかく褒めること、そして細部には立ち入らないこと、これである。

p162
二人の読んだ書物がすべて同じだとはいわないまでも、少なくとも読んだ書物のなかに共通の書物があるということは、愛する者どうしが理解しあう条件のひとつである。

pp171-172
現実生活のなかでは、われわれが書物について他人と交わす会話は、残念ながら、われわれの幻想によって改変された書物の断片についての会話である。

p263
良い読者が実践するのは、さまざまな書物を横断することなのである。

p272
あまりに多くの学生が、書物に払うべきとされる敬意と、書物は改変してはならないという禁止によって身動きをとれなくされ、本を丸暗記させられたり、本に「何が書いてあるか」を言わされたりすることで、自分が持っている逃避の能力を失い、想像力がもっとも必要とされる場面で想像力に訴えることを自らに禁じている。

p291
翻訳者は、原文にあまりに密着したままでいては、こなれた訳はできない。

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