南アジア言語レッスン(2回目)
先週1回目の南アジア言語レッスンを受けたことを書いた。
南アジア言語レッスン、始めました · 読書ナリ
https://dokusho.nary.cc/post/2024/2024-05-20_hello-sensei-lesson-4/
次の日にはレッスンで習ったことを復習した。今回の語学は基本的に iPad で学ぶことにしたので、iPad の手書きノートアプリにまとめた。文字がややこしい言語なので手書きアプリが必要だし、発音記号なども書く。Apple Pencil 必須だ。
手書きメモアプリもどれを使うかかなり試行錯誤した。PDF Expert と Noteful に落ち着いた。PDF Expert はノート内の任意の場所に録音ファイルを配置できるし、Noteful は手書きがやりやすいからだ。
PDF Editor and Reader for Mac | Free Trial | PDF Expert
https://pdfexpert.com/
Noteful - Handwritten Notes, Paper & PDF
https://www.getnoteful.com/
まだ言語を勉強し始めたばかりなので、考えることよりも暗記が中心となる。どうやって暗記するかも試行錯誤した。最初は 3x5 インチの情報カードでフラッシュカードを作っていた。しかし、紙のカードだと今後どんどん数が増えていくので管理が大変になるだろう。潔癖症なので外出先に持ち出して勉強ができない(再び自宅で使えない)。となるとアプリがいいだろう。市販のアプリも検討したが、どれも使いにくそう。FileMaker の自作アプリを使うことにした。過去にフラッシュカードアプリを作っていたので、それを使える。
Claris FileMaker 2023 — software to create apps
https://www.claris.com/filemaker/
何しろ久しぶりの新言語学習だ。過去の学習法では通用しないこともある。環境も変わった。上記のような勉強法の試行錯誤に何日か要した。
特に FileMaker の自作アプリの効果は驚くべきものだった。すいすい覚えられる。自宅サーバーで動かしているので、Mac、iPhone、iPad のいずれからもアクセスできる。そして外出先でも病院の待ち時間や電車の中などでも暗記できる。電車の中ではすごく小さい声で声に出して暗記している。
難解な言語だし、暗記すべきこともたくさんある。ダジャレやイラストを駆使しなければいけない。
こうやって前回のレッスンで習ったことをほぼ完璧に暗記した。
復習だけでなく、自分でも新しい事項を勉強した。週1回、1時間のレッスンですべてを学ぶことはできない。自主学習と合わせないと永遠に身につかない。それに「教えてもらう」という受け身の発想は高校生までで終わりだ(といっても、多くの人は大学生になっても、そして社会人になっても「教えてもらう」という発想から抜けられていないが)。主体的に学ばなければいけない。
先生との連絡の関係で WhatsApp を始めたことを書いた。
WhatsApp アプリを始めた · 読書ナリ
https://dokusho.nary.cc/post/2024/2024-05-21_just-started-whatsapp-app/
WhatsApp には公開タイムラインのようなものがある。そこで語学関係のチャンネルを探したら、‘English with Geet’(ギートと英語レッスン)というチャンネルを見つけたのでフォローした。毎日何度も投稿している、英語関連の有益な情報を発信しているチャンネルだ。ときどき読むようにしている。
あとで分かったが Geet さんはインド人のようだ。南アジア言語を始めて「英語はアメリカ人やイギリス人だけのものじゃない」と(当たり前のことに)気付いたので、インド人から英語を学んだっていい。こうした思考の転換があった。
Geet (TikToker) - Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/Geet_(TikToker)
毎週レッスンを受けることになったので忙しい。映画館にも基本行かないつもりだ(とはいっても、先週1度行ってしまったが)。これまでも特に家事でいっぱいいっぱいだった。しかし例えて言うと、3つのことで忙しかった人がやるべきことを2つに厳選しても、結局忙しいままだ。逆に4つ、5つと増やすことでタイムマネージメント力がつく。語学学習なんてヘビー級のタスクではあるが、逆にうまく生活をマネージできるようにできるのではないかと考えている。
さて、そういうわけで2回目のレッスンを受けてきた。ハロー先生ドットコムのレッスンとしては5回目だ。
前回と同じスターバックスにするはずだったが、日曜&駅に近い店舗ということもあり不安が的中した。満席で座れない。仕方がないので近くのドトールへ移動した。先生はドトールが初めてだという。
高野秀行さんが著書の中で、外国人といるとたとえ日本であっても外国のように感じると書いていた。「東京」が「トーキョー」になるのだそうだ。
[Kindle]『異国トーキョー漂流記』(高野秀行) · 読書ナリ
https://dokusho.nary.cc/post/2024/2024-04-23a_kindle-ikoku-tokyo-hyoryuki/
この気持ちを僕も実感した。ドトールはスターバックスと違い、メニューに英語が併記されていない。外国人には分からないじゃん。外国人がスターバックスばかりを好むわけが分かる。僕が注文を手伝ってあげたし、ついでに僕が奢った。なお、外国人を連れて注文するのは店員さんに自慢できる気がしてちょっと嬉しかった。
ドトールも結構席が埋まっていたが、なんとか座れた。テーブルが小さいのでドリンクのトレイを置くとノートや iPad を広げるのが難しかった。
向かい合わせで座っていたが、文字を勉強する関係で彼女の横に僕が移動した(先生はソファー側の席に座っていた)。
混雑して店内が騒がしかったのでお互い声が聞き取りづらかったが、それゆえに顔を近付けて話すのでドキドキした。前回同様レッスンを録音したが、ちゃんと聞き取れるレベルに撮れていたのでよかった。
録音に関しては1回目のレッスン後に自宅での学習に大いに役立った。外国人によくあることだが、先生がノートにごちゃごちゃっと書くのでそれを見ても分からないことがある。音声でそれが理解できる。先生の発音を聞くことも勉強になる。夜な夜な先生のチャーミングな声を聞いているといい癒しになる。一方で、それなりに自分は英語をちゃんと話せていると思っていたが、自分の発音やらが全然イケてないことに悲しくもなった。
先生は南インドや中東の言語によくあるように、英語でもイントネーションが少ない発音をする。イントネーションは感情や何が重要情報なのかを伝えたりする。イントネーションがないことは強調したいポイントが分かりにくい。逆に言えば、イントネーションに頼らずに文脈や表情から相手の意図を読み取る訓練になる。
先生はレッスン内容をちゃんと考えてきてくれていた。前回の復習、文字の勉強、挨拶の練習、といったメニューだ。僕がちょうど今回やりたいと思っていたことだ。事前に WhatsApp で共有しておくのもいいかもしれない。次回からはそうするかも。
実はレッスン当日に先生からレッスン時間を変更したいという連絡があった。先生は忙しいのかなと思って(単に違う時間のほうが都合がいいからだと後で分かったが)、「時間を合わせるのが難しいなら今週は休みでもいい」と伝えたら、「ダメ! レッスンは大事でしょ」と返信があった。レッスンは毎週やったほうがいいと先生が言ってきたと前回のレビューで書いたが、先生は妙に前のめりな気がする。
でもよくよく考えると、先生は僕が習ったことを忘れてしまうことを心配しているようなのだ。二度手間をなくしたいみたい。というのも、僕はその場で覚えるのが苦手だ。つい先ほど習ったことでもすぐ忘れてしまう。今回も最初、先生が「暗記のためにも最初はノートを取らずに、口頭でやりましょ」と口頭だけで表現を習っていた。でも案の定全然覚えられない。‘I’m a slow learner.’(ゆっくり学ぶタイプなんです)と言い訳したりした。そこで分かったのが、僕はその場で覚えるよりも、家で落ち着いて暗記するのが得意なようだ。覚えが悪いと思われていたわりに、前回の内容をちゃんと覚えていたことに、先生はすごく驚いていた。‘I’m good at memorising at home, not at a cafe.’(自宅での暗記は得意ですが、カフェで覚えるのは苦手です)と伝えることで先生もようやく理解したようで、途中からはインプット中心で進めることになった。そういうわけで暗記は自宅でやることになった。
その場で覚えるのが苦手だということは、これまで何となく気付いていたが、今回はっきりと知れてよかった。どおりで、高校生の頃塾で当日に実施する授業の確認テストでよく居残りになっていたわけだ。どおりで人の名前を覚えるのが苦手なわけだ。どおりで電話が苦手なわけだ。自分の苦手なことが分かれば、その対策を考えればいい。無理に直そうとせずに、苦手なことをしなくて済む方法を考えればいい。
僕は英語で ‘Okay.’ を多用してしまうことにも気付いた。‘Okay.’ は便利な言葉である。日本語の「オッケー」は「了解しました」という間違った意味で使われているが、本来の英語では「まあまあ」「とりあえず分かった」といった意味であり、曖昧な返事として使える。曖昧な返事ゆえにあらゆるシチュエーションで使いやすい。でも、使いやすいイージーな表現に流れてはいけない。的確な表現を使う練習をしないと。次回からは「 Okay 禁止」ぐらいにしたほうがちょうど良さそうだ。
前回はノートとして野帳を使っていた。でもレッスンで使うには小さすぎる。今回は A5 サイズのノートにした。さらにそれはフィラーノートなので1ページずつ切り取りができる。スキャンしやすい。野帳だと写真を撮る必要があった。
自宅では iPad をノートにしている。念のため Apple Pencil も持っていたが、レッスン中は全く使わない。次回からは持参しないことにしよう。レッスンは紙のノートが向いている。
前回のレビューにも書いたが、先生はレッスン料金を安く設定している。自分の価値を低く見積もるのは良くない。先生は熱心だし教えるのもうまい。今回「次に生徒を探すときはレッスン料金を上げればいいよ」と言った。先生はきのうのうちにレッスン料金を上げていたのを知り、嬉しかった。料金が安いと不真面目な、すなわち出会い目的の生徒が寄り付きやすくなる。先生が初回のレッスンで「あなたがどれだけ熱心か確かめたい」と言っていたが、ひょっとして過去に出会い目的の生徒がいたのかもしれない。
僕が今回挑戦しているのは、つい最近まで存在すら知らなかった未知の言語だ。特に文字がローマ字ではない。日本の大学で韓国語やロシア語の履修者が少ないのは、文字が難しいからだ。僕がやっている言語の文字は基本形以外に単語内の位置でも形が変化し、合計 100 通りを越える。文法も難しい。要するに超難解言語なのだ。
最初はその難しさと暗記事項の多さに絶望的な気持ちになっていたが、実際に勉強を始めてみて少しずつ理解し、暗記が進んでくると、「いける」気がしてくる。頑張ればやれるかも? という気持ちになってくる。僕はここ何年か熱心にルービックキューブの練習に励んでいるが、ルービックキューブも(短時間で解くためには)覚えることが大量にあり、最近は新規の暗記が停滞していた。でも、ルービックキューブも覚えられる気がしてきた。難しい言語だってできるんだから、ルービックキューブごとき簡単に覚えられるはず! といった感じだ。すごく難しいことに挑戦すると、その他のことがすべて簡単に思えてくる。あえて到底無理だと思えることに挑戦することは、その他の問題を解決するきっかけになり得る。これはすごい発見である。
チャレンジングな言語ゆえの面白さもあるが、やはりいい先生に恵まれたことも大きなモチベーションだ。先生が魅力的な人だし、先生に褒められたいので勉強を頑張ってしまう。そしてもっと先生だけと通じる言語で話したい(普通の日本人には何を話しているのかすら分からない言語だから)。毎週先生に会えることが楽しみだ。こんなにポジティブな気持ちは久しぶりだ。ストレスが多い日常だが、それらが吹き飛ぶようだ。
イギリス人の先生には「直前のキャンセルにはキャンセル料を取る」と伝えられたりして、あくまでビジネスライクな付き合いに冷たさを感じていた。おそらく(僕の思い込みかもしれないが)デートに誘われないように、レッスン後は逃げるように立ち去っていたことにも印象が悪かった。でも今回の先生は友だちのように付き合ってくれる。電子マネーの使い方を教えてほしいと言ってきたり、レッスン後も世間話をしたりもする。
今朝はレッスン後の興奮のためか、ずいぶん早く目が覚めた。サラリーマンをやめてフリーランスになってから、新しい人と会うことがほとんどなくなっていた。今年になって人と会うようになり、刺激的な生活になった。
先生はドトールが気に入ったようで、次回もそこでレッスンをすることになった。一度入って勝手が分かると安心できる気持ちもよく分かる。最初は誰かに連れて行ってほしいもんね。先生の日本生活も応援したい。僕もまた勉強をモリモリ頑張ろう。
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