僕の父親は人を見たらバカ呼ばわりするような人だ。テレビを見ながら言うのはもちろん、他人にも家族にもバカバカ言っている。

本人は人をバカと呼ぶことで自分が賢いと思っているらしい。

父の骨の髄まで染み付いた差別意識は治るようなものではない。そして子どもの頃からずっと父が人にバカというのを見たり、自分が言われたりしてきて、大人になった僕が他者に対して差別意識を持たないはずがない。

ワイフと結婚してから、ワイフの親族と食事に行くことがあったが、案の定父がバカだと言い始めた。そのときはワイフの親族の小学生の子どももいたのに、だ。

子どもが真似をしてしまう。大人が「どうせ覚えていないだろう」ということでも子どもは覚えている。子どもは大人を見て「人をバカと言っていいんだ」と学習している。

ワイフの親族に父を会わせるのが嫌だ。これは僕だけでなく、僕のきょうだいもひたすら父が結婚相手の親族と会うのを避けようとしている。我が家にとって父は恥部なのだ。

母はそれなりに平凡な女性だが、何十年も父と一緒にいた母も感覚がおかしくなっているところがある。僕は母もワイフの親族に会わせるのが嫌だ。

普通にしていると、親の性質は子に再生産される。僕が自分の子どもを持つようになって最大の課題は、いかに自分の子どもが僕のコピーとならないようにするかだ。

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