p27
子どもの時期は、必然的に、自己中心的な時期です。

p28
自分の運命への対処法を学ぶことは、きわめて重要です。成長する上での第一の課題は、自分がもって生まれた才能や障害と折り合いをつけることを通して、強い自信を獲得することです。まだ子どもの時期に、自分自身との健全な関係を築けた人は、大人の生活にも容易に順応できます。自分自身を素直に観察したり、また周囲の人々を共感的に見ればわかりますが、大人になってもまだ自分の不完全さや自信のなさの感覚を克服しようとして懸命になっている人たちがいます。

p30
疑いや疑問をもつことは自意識の発達の一部として自然です。しかし、疑問をもつことと冷笑的態度をとることは違います。

pp46-47
今、子どもたちのオモチャには、想像力を刺激するような要素はほとんどありません。オモチャを動かすのに、ボタンを押しさえすれば済んでしまうからです。

p76
誰でも自分自身の思春期を振り返ってみれば、ある程度は気持ちの荒れた時期があったと思い出すことでしょう。

p83
しかし、15歳になると、白と黒の間に灰色の部分があるかもしれないということを受け入れるようになり、容赦のない分類分けはしないようになります。

p95
イギリスの学校制度では5歳から16歳までが義務教育期間で、その終了学年に国家試験(Oレベル試験)が行われ、その結果によって進路が決められる。大学進学のためには、さらに2年間の「第6学年級」(6th FORM)に進学し、Aレベル試験を受験する。

p102
シュタイナー教育の方法は、まず「全体」を前提とすることから始まり、次にその全体との関係から「部分」を理解するという点で、それ自体がエコロジーの考え方となっています。

p104
このような教育方法が芸術的・創造的に行われると、全体と部分の関係は有機的なものになり、全体は部分の合計以上のことを表し、部分は全体を補うものであるとわかってくるようになります。こうした教育方法は、算数や言葉の学習以外にも応用することができます。

p130
教師の間に上下関係がないということは、経験豊富な教師や有能な教師が、教室での第一線の仕事から、学校管理的なポストへ異動されないということも保障してくれます。そのため、シュタイナー学校の教師の唯一の望みは、より良い教師になるということだけであり、これは何より子どもにとって直接的な利益となります。

p132
イギリスやアイルランドのシュタイナー学校は、ヨーロッパ諸国の通例とは異なり、国家からの財政的援助は一切受けていませんが、この学校を裕福な人々だけが入学できる学校にはしない、と定めています。多様な社会階層の子弟を受け入れることは、シュタイナー学校の活動の一つの基本原理です。

p150
ポートフォリオとは、もともと「紙ばさみ」や「書類入れ」のことを意味し、教育界では子どもたちの学習記録や作品などを時間の経過に沿って整理したファイルを指す用語として使用される。ここでは、培ってきた能力・技能やこれまでの経歴を活用して、一度に複数の仕事をパートタイムで行うことで自己実現を図る生き方を意味する。

p150
多くの人々にとっては、人生における長い期間、仕事を持たずにいることが一般的になるでしょう。なぜなら、それが現代の経済構造の仕組みだからです。

p163
ユネスコの最近の報告書『学習 : 内に秘めた財産』(1996年)は、実体なき産業であるサービス産業に人々が一層従事するようになっていること、つまり昨今の労働の「非製造化」について論じています。

p166
大事なことは、学習することを学ぶということです。つまり人間は、仮に何歳であっても、死を迎える時まで、人生という学校の生徒でいられるのです。……どのように学べばいいのかを身に付けることができ、自らの長い人生全体を通して学び続けられるようになる教育方法の発見が重要なのです。

p170
シュタイナー学校が、成長しつつある人間が必要としていることを根底に据えた教育に全力を傾注しているのは、学校が居心地のいい伝統に甘んじて停滞すべきではないからであり、学校は周りの世界で起こっていることを無視すべきではないからであり、さらに学校は、過去の夢を見ながら活動すべきでもないからなのです。

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