[読書メモ]『最強の子育て』(佐藤優、井戸まさえ)
p27
まずは教科書に標準的な日本語で書かれている内容を正確に記憶に定着させて再現する。/このスキルは仕事においても絶対に必要なことですから。マニュアル人間ではダメと一方では言うけれど、そもそも仕事ってマニュアルを読んで覚えて実行をすることが基本でしょう。そのための訓練にもなるわけです。
p30
考えてほしいのは、外国語の学習で「読む力」を、「書く力」「聞く力」「話す力」が超えることは絶対にないということ。これは高度なレベルでの日本語もそうなんですよ。/読んで理解できないことは書けないし、話せないし、聞いてもわからない。だから読むことを先行させないといけないわけです。読むこともアクティブ・ラーニングの一部。それをやらないで形だけアクティブ・ラーニングをやったって、それは非常に低い水準になってしまう。
p73
あと、英検1級は要らない。難しすぎる。あそこまで高度な英語は、高度な専門家以外には必要とされない。だから、英検準1級のところまでいったらもう落ちませんよ。それから次の語学学習に入ればいい。/もし子どもに使える英語を習得させるんだったら、英検準1級をいかに早くクリアさせるかということがポイントとなります。これは早ければ、中学3年ぐらいで行けますから。
p84
多浪はリスクが大きいから。たとえば3浪というのはどういう意味かと考えたら、同じことをやるのに、人に比べて4倍の時間がかかるということでしょう。企業の採用者が3浪を嫌がるのはどうしてかと言ったら、仕事が遅い可能性が高いから。/仕事が遅いというのは大きなマイナスでしょう。実際に、私がいた外務省でも何度も試験を受けて入ってきた人間は仕事が遅かったですよ。
p86
でもね、これは社会人になってからすごく重要なスキルですよ。[反対に、]無謀な目標を設定して、そこに向かって何年かけてもコツコツ進んでいくというのは、逆に考えれば要領が悪いということにほかならないんです。
p88
みんな出身校の偏差値だとか、卒業後どの企業に何人就職したとか、司法試験や公務員試験に何人合格したかということばかり気にしている。そんなくだらないことを心配している暇があったら、本を読んで勉強して、教養と専門知識を身につければいいんです。
p115
それはやっぱり保護者の情報格差ですね。
p115
逆に大学の教師も一生懸命勉強する子がいたら変わるんですよ。
pp116-117
大学院で、自分の卒業した大学より偏差値の高いところに入ったら昇格、というイメージは一般にはありますよね。でも高等教育の実態を知っている人にはそれは通用しませんよ。今、同じ大学でも学部よりも大学院のほうが入るのはやさしい、とみんなが知っているわけですから。特殊な一部のところを除いては。
p120
数学が中学校レベルで転んじゃって、分数の計算が怪しいような人間は、合理的な推理ができないですよ。
p123
でも率直に言うけど、私の知る限り、大学で体育会に所属していて成績優秀者って1人もいませんよ。体育会活動にほとんどの時間を取られるから、当然のなりゆきです。
p125
くり返しますが、大学は勉強をする場です。部やサークル活動はあくまで従属的地位を占めるものです。この原則を踏み外してはいけません。
p127
大学に行っても答えが出てこないというか、自分の要求に対して得られるものが低いのだったら自分で勉強したほうがいいですよね。
p137
勉強は量。東大生の強さは結局そこなんですよ。
p139
同志社の子たちと東大の子たち、頭の出来は変わらないですよ。勉強ができる・できないは長時間学習の習慣がついているかどうかで決まるんです。
p140
勉強ができる・できないが、簡単にわかることがあるんですよ。連絡の際にメールが来る子はできる。SNSで来る子はできない。
p143
一番わかるのは結局は英語と数学なんです。この両方の教科というのは、付け焼き刃も効かないし、丸暗記もほとんど効かないですからね。
p159
結局ね、なんだかんだいって情報は東京に集中しているんです。
p160
今は富裕層という基準が変わってきていると。富裕層は子どもの教育に合わせて引っ越せるのが富裕層だというんです。
p171
井戸 家族の中で借用書を作るんですね。
佐藤 そう、場合によっては公証人役場に行って確定日付を押して。返済についても取り決めるんです。就職して5年以降から支払いをとかね。そこまでやっておくんです。
p188
デジタルのゲームは完全に遮断したほうがいいと思いますね。中途半端に制限するのだったら完全に遮断したほうがいいでしょう。
p191
そういうことを面白いと思っている人たちと、そういうことに全然関心がない人たちと、層が完全に分化していますね。
p195
ある時期、何かに夢中になって取り組むという体験は必要ですから。
p206
生活保守主義[…]社会変革を望まず、自分自身の豊かな生活を守りたいと考える態度。ジャーナリスト石川真澄の造語[。]
p208
酒を飲んで憂さを晴らすというのは依存症への第一歩ですよ。一度アルコール依存症になってしまうと、次はセックス依存症とか、薬物依存症とか、ギャンブル依存症とかいろんな依存症が待っているんです。/いろんな依存症のうち、一番近いところにあるのはアルコール依存症。だからアルコール依存は一番避けないといけないものなんです。
p210
しかしそれから30年以上たつのに、いまだに日本では、学校などで性教育をしようとすると「寝た子を起こす」という反対が起きて、きちんとした性教育が根付いていません。
p212
なんでも親に言えばいいというわけではないんですよ。好きな子ができたとか、こういうセックスは云々、だとか、そういう話が平気でできるというのは、逆に親離れ・子離れができていないということ。
p215
そう、底意地が悪い。無意識にも他人を害する行動をしているわけです。
p217
知力というのは、学生同士の交換はできないわけでしょう。世代間で移転しなければいけないわけです。
p233
発達障害のレッテルを貼って、エクスキューズにしたいこともあるわけですよ。
p248
井戸氏は、声の大きいタイプの国会議員ではなかった。「私が先」と前に出て行くよりも、社会的な弱者に寄り添って、目の前ににある具体的な問題を解決することにエネルギーのほとんどを傾注した。