pp14-15
風邪が原因で咳をしている場合は、感染した細菌やウイルスによる炎症が消失し、「風邪が治っても咳だけが残る」「何日経っても咳が止まらない」という場合は、それは長くても8週間程度と言われています。8週間を越えても続く場合は、慢性咳として、原因を検討する必要があります。ストレスによる心因性の咳も考えられます。

p20
「咳ぜんそく」を放っておくと、3~4割が「ぜんそく」に移行してしまいます。

pp44-45
以前は、発作が起きたときに紙袋を口に当てて、袋の中で呼吸を行うペーパーバッグ法が有効だと言われていました。過剰に二酸化炭素を排出しているので、口元に紙袋を当て、吐いた二酸化炭素を再度吸い込ませる方法です。しかし、この方法で窒息死することがあるため、最近では推奨されなくなり、むしろゆっくりと腹式呼吸を行ない、改善を期待するほうが安全と考えられます。発作の程度によっては、薬を指示される方もいます。

p51
『ぜんそく』の診断は、子供と違い、大人になると気道のリモデリングという現象が加わるため、症状の出方が変わります。

p60
通常、人はストレスを受けると神経系・内分泌系・免疫系が活発に働き、ストレスに抵抗して自分を守ろうとします。心療内科が専門の先生方でも、「ぜんそく」を心身が影響する疾患に位置づけています。

p66
発作はいったん収まっても、何度も繰り返すと、次第に気道の壁が厚くなる「気道のリモデリング(再構築)」が起こってきます。

p74
ここで注意すべきことは、明らかに副作用だと思われる症状がない限り、親の判断で薬の用量を変更したり、中止したりしないことです。

p77
社会人になると「ぜんそく」と仕事や育児、介護などとの両立が問題になります。自分を二の次にして頑張ってしまうからです。自分が健康でないと人の世話などできないので、自分の健康はしっかりと守ってください。/勤務にしても家庭の仕事にしても、思わぬ障害があるものです。例えば、人前で薬を吸入すると恥ずかしいと後回しにして、発作を起してしまう場合もあるでしょう。

p94
私の診察室に来ていただく患者さん方は、「ぜんそく」の診断をつけると熱心に耳を傾けてくれますが、それは自ら望んで治療を受けに来ているからです。同じ私が診察しても、救急室で当直しているときなどは、患者さんがそのつもりでないので、なかなか言うことを聞いてくれません。

p101
『アトピー性皮膚炎』だった赤ちゃんの25%が『ぜんそく』に移行するとも言われています。

p111
ダニやカビの育成防止のために、湿度は50%以下に調整しましょう。ただし、過度に乾燥させると風邪や鼻炎を促すので、40%以下にならないように注意します。

p112
冬の夕方以降は湿気を呼び込むので換気をしてはいけません。

p166
病院で処方される薬のほとんどは徐放薬と呼ばれるものです。徐放薬というのは、時間を掛けて少しずつ長時間効く薬のことです。徐放薬の場合は「いつも発作の起きる時間から、何時間後に効いてくるのか」を考えながら飲むとよいと思います。

p172
『ぜんそく』の薬が他の病気の薬と大きく違う点は、自分で発作の程度を評価して発作時に医師に使用するように指示された薬を使用することです。重症になればなるほど、息苦しさを感じるセンサーが鈍くなる患者さんもいるので、その様な場合は、自覚症状はあてになりません。そこで、薬の効果を確認するためにピークフローメーターが必須になります。

p178
試行錯誤をしながらでも根気よく治療を継続する必要があります。実は、薬は治験でおおよそ7割の患者さんに効果が認められれば、薬として認可されます。もしかしたら、あなたは効果のない3割に入っていただけかもしれません。また、抗アレルギー剤のように体質などによって効果の有る無しが決まる薬もあります。しかも、一定期間飲み続けなければ効果は判定できません。

p185
ぜんそく日誌には決まった形式はありません。自分でお気に入りのノートを購入し、そこに記録してもいいでしょう。

p210
あなたの周りに、『ぜんそく』だからこそ出会えたステキな出会いもあるのではないでしょうか。

p236
自律神経には身体を活発に活動させる「交感神経」と、落ち着かせる「副交感神経」があり、両者がバランスをとることで、心身を保っています。日中は交感神経が優位に働き、夜間は副交感神経が優位に働くのです。しかし、ストレス状態が長く続くとこのバランスが崩れ、様々な症状が現われます。これが、『自律神経失調症』です。