p20
いまの世の中では時間不足が当たり前になりすぎていて、たいていの人は疑う気持ちすら起きないはずです。

p26
2つ目の問題は、「細かい締め切り」というテクニックが、不安や焦りといった、人のネガティブな感情を利用している点です。/それが必ずしも悪いわけではありませんが、ネガティブな感情には、交感神経を刺激して体のストレス反応を引き出す作用があります。これは、一時的に集中力を高めてくれるものの、長く使うと少しずつダメージが蓄積されていき、やがて体を壊す原因になってしまいます。なによりも、いつも締め切りの焦りに追われながら作業をするのは楽しくないでしょう。

p28
そこで、ワルシャワ大学の研究チームは、「忙しい」の代わりに「活動的だ」や「活発的だ」などの言葉を使うように提案しています。とてもシンプルなテクニックですが、学生を対象にしたある実験でも、「忙しい」を使うのを止めた被験者は、3カ月後の成績が大きくアップしたそうです。

p33
生産性が上がらないのに作業量だけ増やすのは、まさに時間のムダと言えます。

p36
内閣府の計算では、一人当たりの労働時間が10%減るごとに、一時間当たりの生産性は25%も高くなります。そのほかのデータを見ても、労働時間が短い国ほど生産性が高く出ており、作業量を減らすほど、逆に成果が上がっていくのは間違いなさそうです。

p37
「やるべきことが多い=生産性が低い」という事実は、心理学の世界では1950年代からハッキリしていた事実ですが、なぜか日本の企業はいまだに改善しようとしません。

p41
1回気がそれた集中力を取り戻すまで15分もかかってしまうことがわかりました。

p51
ところが、いったん「時間が足りない!」といった感覚に襲われると、焦りとパニックによって生産性が大きく低下。結果として、何もかもうまくいかない負のスパイラルにハマり込み、やがて本当に使える時間も減っていきます。

p68
あらかじめ「やるしかない環境」に自分を追い込んでおくのが基本。行動経済学の世界では「アーキテクチャを作る」と呼ばれる考え方です。

p70
他人に向けて話しかける様子を思い描くだけで、思い込みにとらわれない答えが出せるようになるのです。

p79
他のことをしながら作業をした場合、脳の回転や集中力など、すべての面で生産性は40%下がり、ひとつの作業を終えるのにかかる時間と作業ミスが起きる確率が50%増えてしまいます。「ながら作業」は効率アップの大敵なのです。

p83
実際、メールチェックと仕事の生産性を調べた実験では、あらかじめ「メールを確認するのは1日3回まで」と決めておいた被験者は、作業中の緊張やストレスが減り、幸福度も上がる傾向がありました。

p87
私たちの脳は、作業と環境を結びつけて覚える習慣があります。/たとえば、いつも自宅のPCで仕事をしていた場合は、「自宅は仕事する場所だ」と脳が学習するため、それ以外の場所で仕事をすると脳が混乱してしまいます。そのため、事前に「仕事は自宅でやる」「勉強はカフェでやる」といったように、あらかじめ作業と場所をセットでまとめておくといいでしょう。

p92
ここまで「呼吸」の効果が高いのは、人間の体が、ゆっくり呼吸しながら緊張できないようにできているからです。

p92
人体の「緊張システム」へ直にアクセスできる手段は、ほかにありません。つまり、呼吸というのは、あなたがストレスに対して取れる数少ないハッキング法だと言えます。

p96
「パワーブリージング」が効果的なのは、そもそも私たちの体が、息を吸うときには血圧が上がって緊張状態になり、逆に息を吐くときには血圧が下がってリラックス状態に入る仕組みになっているから。そのため、意識して吐く息を長くすると、自然にリラックス状態のほうが優位に切り替わっていくのです。

p105
1.時間がなくて焦りを感じたら、「自分はワクワクしているだけだ」と声に出してみる
2.同じセリフを3回くり返して、自分が言ったことを信じこむように努力する

p114
まずは自分の不安を「誰にでもある自然なもの」だと認める

p115
時間のプレッシャーでドキドキしてきたら、「ワクワクしてきた!」「興奮してきた!」と声に出そう。

p160
一時停止リマインダー

p208
つまり、現代の社会人は、「個人」の時間汚染だけでなく、「組織」の時間汚染にも立ち向かわなければなりません。外から強制的にやってくるマルチタスクの問題を、意識して処理していく必要があるのです。

p210
経済学者のブルーノ・フライ博士は、ドイツで行なわれた幸福度の調査を分析したうえで「長時間の通勤がもたらすストレスは、年収が40%アップしないと釣り合わない」との結論を出しています。

p237
ほとんどの人は、みんなとアイデアを出し合うよりも、個人で考えたほうがオリジナリティの高い発想を生み出せたのです。

p248
もしもあなたの勤務先がブラック企業だった場合や上司がヒドい人間だった場合は、三十六計逃げるにしかず。がんばって抵抗し続けるよりも、もっと良い職場を探したほうがいいでしょう。

p253
・仕事を家に持ち込む人ほど日ごろのストレスが多い
・仕事を家でやるときのストレスは運動をしても対処できない
・自宅で仕事のことを考えただけでもストレスは激しく増える