ii
近年、日本では研究者がグローバルに活躍することが求められてきているなか、日本の研究者たちはこれまで多くの英語文献を読み、理解し、引用するといった「受身的」なグローバル化は十分にしてきたと思う。しかし今、日本の研究者に求められているのは海外で研究を発表することや、英語圏の学術誌へ投稿するなどといったような「積極的」なアプローチではないだろうか。

p3
参考・引用文献(References あるいは Bibliography)

p4
それでも手に入らないような論文は直接著者へメールを書き、コピーを送ってもらうことも可能なので、積極的に文献手配に取り組んでもらいたい。アメリカの研究者は自分の論文の引用回数が直接業績にもつながるので、このようなリクエストには比較的喜んで応えてくれる場合が多い。

p8
論文全体の英語アウトラインを箇条書きで作成し、それを膨らませるように書く。また執筆の現実的なスケジュールをたてることも重要である。

p38
論文における数字の書き方のルールはさまざまであるが、社会科学系の研究論文では、文頭に入る数字は基本的にはスペルアウトし、文中に入る2桁以上の数字は番号で表すと覚えておくとよい。先行文献の引用では原文通りに表す。

p45
主語の数(単数、複数)と動詞を一致させることは大切である。とくに修飾語(including、as well as など)を含んでいる場合は複数になるので注意してほしい。

p56
直訳はできるだけ避け、最初から英語で研究論文を書くことが重要である。

p106
英語の論文指導をする際に、筆者は常に “Every word counts." の重要性を訴えてきた。この意味は論文に含まれるすべての語句はなんらかの意味をもっており、意味のない不必要な語句は使わない、または意味のある必要な語句はすべていれるということである。

p109
必要がない限り一つひとつの先行研究についての過剰な批判は避けるほうがよい。むしろこれまでの研究をある程度尊重しながら問題点を指摘していくとよいだろう。

p215
社会科学系の英語論文に使う図はすべて Figure と呼ぶ。

p256
原稿を棒読みすると英語の抑揚がなくなり、聞き取るのが難しくなる。

p272
学術誌は主に多様なトピックを扱う General Journal と各領域の特定されたトピックを扱う Specialty Journal の2種類がある。

p280
同じ原稿を他の学術誌へ投稿していないこと。(これは研究の倫理に反するので絶対しないこと)。

p312
本書を読み、英語の研究論文を書いてみたいと思う読者へは、「書こうと思ったら直ちに実行することが大切」であると指摘したい。英語の研究論文を書く作業で最も難しいのは「はじめる」ことだ。書きはじめてみれば、それを育てて英語研究論文の形にもっていくのはさほど困難なことではない。とにかく、書けるところから書くことが大切である。いつか英語をもっと勉強して研究論文を書きたいという態度ではいつまでたっても書けないだろう。