[読書メモ]『子どもたちの階級闘争』
- 読書
- 2019/08/05 Mon 06:29
p27
アンダークラスとは、就業せずに生活保護をもらいながら生活している人々の層を指す言葉であり、仕事をしていないので労働者階級とも呼べない、既存の階級の「下」に位置する層として登場した新たな階級の名称である。
p30
アンダークラスの人々を知った当初、「24 時間自分の好きなように使えるのに、どうして彼らのライフスタイルには幅がないのだろう」と不思議に思ったものだった。しかし人間というものは、「希望」というものをまったく与えられずに飯だけ与えられて飼われると、酒やドラッグに溺れたり、四六時中顔を突き合わせなければならない家族に暴力を振るったり、自分より弱い立場の人々(外国人とか)に八つ当たりをしに行ったりして、画一的に生きてしまうもののようだ。
p45
これは英国という国の底力である。ここには底辺を底辺として放置させてはいけないと立ち上がる人が必ずいる。地べたで何かをしようとする優れた人々が出てくるのだ。
p65
階級を昇って行くことが、上層の人々の悪癖を模倣することであれば、それは高みではなく、低みに向かって昇って行くことだ。
p73
アンガーマネージメント
p93
16 歳になれば法的にはアプレンティス制度(見習い制度)で保育施設に勤めながら資格を取得することは可能であるということ。
p100
英国では貧困層ほど肥満や糖尿病に苦しむ人が多いというのは昔から言われている話だが、日本でも非正規労働者の若者が定収入と生活のストレスからジャンクフードや高カロリーの食品を多く摂取する傾向があり、似たような問題がクローズアップされるようになってきたと聞いている。
p102
英国で仕事を探すには、履歴書だけでは不十分だ。前の職場の上司などからの「リファレンス」と呼ばれる推薦状が必須である[。]
p181
本には「前書き」と「後書き」があるもので、その中間にくる「中書き」というのはあんまりないと思うが[…]
p183
むかしを懐かしんでもしかたがない。
p191
英国の保育施設で働く人間には、預かっている子どもが虐待されているのではないかという根拠ある疑いを抱いた場合、お上に通報せねばならぬ義務がある。それがどの程度の義務なのかというと、わかっていて通報しなかったということが判明した場合にはこちらがお縄を頂戴してしまうという、きわめてリーガルな義務である。
p190
「一日中家でテレビを見ているなんて、怠け者のすることよ」
p207
リアリスティックであることを信条とするわたしに対し、ポールはドリーマーで優しい。
p222
前世紀末まで子どもが虐待されて亡くなったケースが日本で大騒ぎされることがなかったのは、子どもの死亡が別の理由で処理されていたからであり、「児童虐待」という概念がトレンディでなかった時代には、子どもの死を調査するほうもその視点に立って物事を見たり疑ったりしてなかったし、報道するほうもそのネタに目を光らせてなかったのだ。
p229
突破口。というものは、どんな子どもとの間にもある。
p234
「力」というものの中には、きっと実際の作業をする能力というのはあまり含まれておらず、自己プロモやネットワーキングを行う手腕といった「作業換金力」が 80 パーセントから 90 パーセントなのだろう。
p269
若い女性は「ロールモデル」を必要とする生き物らしいので[…]