一応本ブログは「読書ブログ」だけれど、読書メモは書いても、書評についてはほとんど書いてこなかった(読書会に参加したときなどは書いていた)。

ワイフの出産を間近に控え、妊娠・出産に関する本を再読したりしたので、オススメの本を「リーディングリスト(reading list)」としてまとめてみることにした。そして、ブログに感想を書こうと思いながら読書すると、読書の意識が変わり、読書中のメモも増えた。これはいい発見だった。

妊娠・出産関係の本は「ふわゆる系の本」も多いと気付く。私は専門家(=医者や研究者)の科学的な本を読み、しっかり知識を付けたい。そもそも知識を付けることで初めての経験の不安をなくしたいんだから。変なふわゆる系の本が当たらないように、書店で本を実際に見て購入した(本を買う際はプロフィールをきちんとチェックした)。また、ワイフも一緒に読めるように、電子書籍ではなく紙の本にした。

そして、ふわゆる系ではなくても、妊娠・出産関係の本はピンク色が多い気がする・・・。

だいたい妊娠・出産関係の本は妊娠3ヶ月頃に買い集めた。たくさんドッと買うようにした。ある意味「研究」のために買うんだから、特定分野をドカンと集中的に大量に読むのは当然だ。

また、同一分野の本を買う際は、同じ著者が複数の本を書いていることもある。なるべくいろんな著書の本を買おう。そうすることで、より抽象化した知識を得ることができる。

買った本は一般向けの本ばかりとはいえ、妊娠・出産に関しては情報量が多い。1回読んだだけでは頭に入らない。聞き慣れない言葉もたくさん出てくる。だから、何度も読んだり、現在の状況に合わせて該当箇所を重点的に読むとよい(だから、出産直前に再読をしたりした)。

妊娠・出産に関する情報は母体および新生児の健康、あるいは命に関わることも多い。それなのに、最近の人はネットで検索して情報を見る人が多いと思う。ググってトップに出てきた「Yahoo! 知恵袋」とかの “よく分からないページ” とかを見てしまう。これに限らず一般的に、特別に訓練されていない限りネットで正しい情報を見つけるのは難しい(それでも普通の人はネットばかり見てしまう)。だからこそ、読書して情報を取り入れるべきなのだ。

たとえば、帝王切開については、私は「もし帝王切開になれば、一大事」だと思っていたけれど、本で読んで結構一般的に行われる処置だと気付いて安心した。また、うちの子どもは逆子がなかなか治らなかった。ワイフが「近くで外回転術(逆子を外部から治す治療)をするところがあるので、試してみようか」と言い出したが、絶対ダメと答えた。外回転術は非常にリスキーな治療なので一部の医師しかできない。近所のよく分からないところでやるなんてとんでもない。本当に外回転術をしたいなら、かかりつけ医に相談して専門医を紹介してもらうべきなのだ。これも本で読んで分かった。なお、逆子は結局治った(逆子は多くの場合自然と治る)。

さて、前置きはさておき、さっそくオススメの本を紹介していこう。

(1)河合 蘭『出生前診断 出産ジャーナリストが見つめた現状と未来』

わが家は出生前診断は受けなかった(ワイフがそもそも反対していた)。それでも、出産について幅広く知識を得るために、出生前診断についての本を読んだ。

徹底的な取材や堅めの文章で、著者は男性だと思い込んでいたが、プロフィール写真を見ると女性だった(本の裏側に写真が載っているのに、ちゃんと見ていなかった)。

歴史的経緯からしっかり学ぶには最適な本。

評価:4/5

(2)香山 リカ『新型出生前診断と「命の選択」』

香山リカさんの本はこれまで何度か読んだことがあるが、本書もこれまで同様、問題について「ああでもない、こうでもない」と悩み続ける本。安易に答えを出さないところがいい。

出生前診断を「カジュアルに受けられるもの」のように書いる本もある。現在は高額だけど、今後はどんどん安価になっていく。安易に受けられたとしても、その後重い責任を負うことになることを認識しておくことが大切だ。

評価:3/5

(3)A.Christine Harris『はじめての妊娠・出産安心マタニティブック』

出産までの体の変化を1日ごとに知ることができる本。日付を書き込める欄があるので、最初に書き込むといい。日記・メモ欄もある。また、妊娠、出産、育児に関するヒントも書かれている。世界のさまざまな出産文化について紹介してあるのも面白い。毎日少しずつ読むには最適だ。

評価:3/5

(4)たまごクラブ『HAPPY妊娠・出産ガイドBOOK』

イラストや図示が多くて、どちらかというと雑誌っぽい感じ。ページ内に四方八方にテキストが配置されているので、読む順番が分かりづらく、サクサク読めない。最後の用語集は役立つ。

評価:3/5

(5)井上 裕美、小黒 道子、河合 蘭、長谷川 充子、井本 園江『「なっとく出産」応援事典』

この本は私の一押しだ。Q&A 形式で各設問ごとにそれぞれの専門家がしっかり解説している。読み応えあり。

評価:5/5

(6)大鷹 美子、中澤 友幸『35歳からのはじめての妊娠・出産・育児 安心BOOK』

わが家も後年初産(=35 歳以上で第一子を産むこと)に該当する。本書は後年初産に内容を絞った本だ。解説もしっかりしてある。より重点的にわが家ののケースに当てはまる知識を得ることができた。

評価:5/5

(7)荻田 和秀『ダンナのための妊娠出産読本』

妊婦の夫のための本。ありそうでなかった視点だ。ところどころに産科医の本音が書かれているのも面白い。

評価:5/5

(8)きゅー『妊娠・出産を安心して迎えるために 産婦人科医きゅー先生の本当に伝えたいこと』

本書は1で紹介した本と逆で、ずっと著者が女性だと思っていたら実は男性だと途中で気付いてくる。ブログが元になっているのでハンドルネームが「きゅー」という性別がよく分からない名前だし、イラストもかわいい系なので、女性だと思っても仕方がない。

なぜ私が性別をハッキリ分かるようにしてほしいのかと言うと、著者の視点に立って読書するのが困難になるからだ。読書は自分をなるべく捨て、著者の視点に立ったときに一番内容が頭に入る。自分自身を離れることができなかったら読書の意味がない。そのためにも著者がどういう人かをイメージしやすいことは大事なのだ(性別の違いは著者のイメージを左右する)。経歴や人となりが分かるようにプロフィールを充実させ、顔写真を載せるべきだ。

さて、本書はブログが元になっているけど、体系的にまとめ直してある。時々文字が大きくしてあったりして、マンガチックな感じがある(実際、時々おふざけのマンガも入っている)。ふざけている感じが好きになれない人もいると思う。

まあ、楽しく読むための本として割り切ろう。

評価:3/5

(9)宋 美玄『産科女医が35歳で出産してみた』

産科女医自身の妊娠・出産体験談。この視点も面白い。一般論と自分のことを同時に書いてあるからね。ブログの文章をそのまままとめたものなので日記風。体系的な知識を得るのは難しく、情報量は少なめ(注で専門的なことが書かれている)。

文体が、私の学生時代(10 数年前)の文章と似ている感じがあって、その点では親しみがあった。

名前からして韓国系の著者なのかもしれない。やや日本人的な感覚とは違うなと思う部分もあった。

評価:3/5

(10)竹内 正人『妊娠中から授乳中のママのための食事と栄養お悩み解決ブック』

大抵の妊娠・出産系の本を読むと、食に関しては「これは食べちゃダメ」「これを食べないと大変なことになる」といった極端な印象を受ける。本書はそういった「脅し」ではなく、バランス感覚のあるアドバイスがしてある。メカニズムを丁寧に解説してあるので説得力がある。優しく語りかけてくれる感じの文体もいい。

評価:5/5

私はこれらの本を2回読んだので、出産を直前に迎えたこれからは出産部分だけを重点的に精読しよう。