FileMaker と英語
最近は FileMaker でのアプリ作りを積極的に行っている。FileMaker とはプログラミング言語に詳しくない人でも簡単にアプリケーションを作ることができるプラットフォームである。FileMaker 開発者向けのイベント「FileMaker カンファレンス」が毎年開催されており、以下の公式 YouTube でそのセッションを観ることができる。
ファイルメーカー株式会社 – YouTube
https://www.youtube.com/user/filemakerjapan/playlists
最近体調不良でベッドの中で過ごす日が続いていた。そこで、観ようと思っていた FileMaker カンファレンスのビデオを過去年分すべて観ることができた。
FileMaker カンファレンスは、FileMaker をこれから始めるという初心者向けのセッションから上級者向けのセッションまで含まれている。開発や活用の有益なヒントを得ることができる。
基本的には FileMaker を利用している企業がセッションを行う。つまり企業の宣伝の場である。最初に自己紹介で会社の宣伝があるのでそこは飛ばした。FileMaker はこんなにすごいんですと一生懸命 FileMaker 社に代わって宣伝しているのはちょっと異様だなとも思う。
FileMaker はアメリカのアプリケーションだけど、世界の4分の1のマーケットが日本だという。複雑なコーディングが不要でスピーディーに現場に導入できるので、多くの企業が使うのは分かる。
私のように個人用ツールとして使う人はあまりいない印象だ。私はもともと Mac の Bento という簡単なカード型データベースを使っていた。Bento の開発が終了し、OS をバージョンアップすると動作しなくなったので、仕方なく始めたのが FileMaker だ(以前少し触ったことはあった)。最初はカード型データベースとして映画や読書の記録をまとめるだけに使っていたが、今では積極的にアプリケーション作りをしている。私がコンピューターを子どもの頃から好きだった理由は、小さな箱(=パソコン)で無限の可能性が広がるからだと思う。
さて、FileMaker が多くの日本企業で導入される理由の一つは、日本語で使えることだと思う。アプリケーションインターフェースが日本語なのはもちろん、スクリプトまで日本語で書ける。たとえば、変数を設定するなら、“Set Variable…” などと書かなくても「変数を設定」と日本語で書ける。これなら英語が苦手な人でも使える。たしかに他のプログラミング言語だと、基本的に英語で書くから、英語が苦手な人だとそれだけで引いてしまうだろう。
それだからか、前述の FileMaker カンファレンスのスライドでは、英語のスペルミスをしている人がやたら多いです・・・。
私はそもそも Mac は英語環境にしている。ついでに iPad やら Raspberry Pi やらすべて英語にしている。英語環境に慣れるためだ。だから FileMaker も英語で使っている。ただし、日本語独特の機能があったりする Adobe アプリケーション(特に InDesign など)では日本語インターフェースにしているが、それは例外中の例外だ。英語で FileMaker を使っている私は、日本語インターフェースを前提とした FileMaker カンファレンスを観たり、セミナーに参加すると、少し混乱することがある。
それと、スクリプトを日本語で書けたとしても、結局記号は半角英数字で書かなければいけない(括弧やら $ やら)。いちいちキーボードの入力モードを日本語と半角英数字で切り替えるのは手間が増える。始めからスクリプトを英語で書いた方が早い。
FileMaker ではあまり言われることがないけど、Adobe アプリケーションだと、セミナーなどでインターフェースの訳語が変だという話になることがある。つまり日本語インターフェースであることが逆に混乱を招くことがある。私は何でもかんでも英語にしているわけではない。オリジナルの言語を使うだけだ。英語の国で作られたアプリケーションは英語で使おうとしているだけ。だからわざわざ英語サイトが用意された日本のサイトも英語で見たりしない。「何がオリジナルであるか」を見極めるのが大事だ。
FileMaker のセミナーにも数回参加したことがある。印象は・・・おじさんが多いこと・・・。おそらく、FileMaker は中小企業のおじさんでも使いやすいからなんだろう。それに対して、Adobe の DTP セミナーなんかに行くと、圧倒的に若い人が多い。利用者はフリーランスのクリエイターが中心だからだろう。
そう考えると、若い人にもどんどん FileMaker を使って新しいものを創造してほしい。一方で、特に若い人は FileMaker 以外のどんどん高度なコーディングの世界に入っているんだから、おじさんたちは FileMaker でできないこともあることを忘れてはいけない。
これはコストも関わっている。FileMaker は個人で導入するには料金が高い。FileMaker Developer Subscription を使って安く利用する手もあるが(私はこれ)、少しでもシステムを大きくしようとするとサービス利用料で結構なお金が掛かる。だから、企業の中で使うことになる。それに対して通常のプログラミング言語なら無料で始められるし、スケールアップもサーバーを自分で自由に作ればいい。FileMaker は所詮一企業の商品なので融通が効かないとも言える。
私は過去に何度かプログラミング言語に挑戦したが、毎回挫折してきた。しかし、FileMaker ならどんどんスキルアップできている。しかも、FileMaker をやると、通常のプログラミング言語の概念も間接的に学ぶことになる。数年前から Raspberry Pi で小さな開発を始めたのをきっかけに Unix の知識が増えてきたように、FileMaker を通じてプログラミング言語がどんどん使えるようになるといいな。
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