[読書メモ]『工学的ストーリー創作入門』

p10
僕は「即興で書かず、まずアウトラインを作れ」と決めつけてはいない。ただ、構成の原則を知ればアウトラインの有効性に気づくだろう。物語の大筋を決めておけば、後で何度も原稿を書き直さなくて済む。

p54
どちらにしても、原稿を書く前に気づく方がいい。

p56
自分が読んで楽しめるものを書けば間違いない。自分をさらけ出し、人の心にも触れたいと思えるような本がいい。そんな繊細さが自分にとっての正しいコンセプトを選ぶ鍵だ。

p60
コージー・ミステリー(日常的な場面で展開する推理小説)

p78
脇役たちには深みを出さない方がいい。深みを追求するために脇役まで掘り下げるのはやめよう。ピザの配達人まで深く描いている文章を見ると、セミナーを受けたての新人だなとわかる。/作り込むのは主人公と敵対者、主要人物にとどめる。ピザ屋のおいたちまで知る必要はない。

p90
ストーリーでは主要人物に「変化への道」を歩ませる。人物たちは危機や必要性に迫られて行動し、達成し、学び、変化する。主人公や敵対者、悪者も同様だ。

p90
自分の弱さに苦悩しながら頑張る人物は読者に愛される。過去の過ちを悔やみ、ストーリーの中で崇高な使命に向かう人物だ。悪魔の囁きを振り払い、何かを決心する姿でもいい。/僕らはそういう姿に共感する。いっときだけでも主人公を応援するだろう。誰しも同じ体験があるからだ。

p95
僕らは怒ると復讐を企てる。金遣いが荒い妻への仕返しに、夫は高価な釣道具を買いまくる。妻がいやな顔をする品であるほどよい。/それが現代の夫婦の実体だ。よくも悪くも人間の心理に沿って動いている。怒りを隠し続ける登場人物が心臓発作を起こす場面はよくあるが、理にかなっている。

p97
両親と似た行動パターンをする人もいれば、正反対になる人もいる。いずれにしても大きな影響を受けている。

p100
希望ほど物語に力を与えるものはない。

p128
「どんな料理ができるか全然わかりません」と言うシェフはいない。材料をカウンターの上に並べて見渡し、完成した料理を思い浮かべ、好みのスパイスや芸術的なタッチを加える。/ごちそうを作ろう。

p132
簡単に言えば、テーマとは「ストーリーが意味すること」だ。

p133
テーマに対して積極的になろう。自然に任せず、自分で考えよう。

p143
見せろ、語るな。描写しろ、説明するな。

p145
テーマの力がわかれば、翼を得る日も近い。

p158
才能ではない。原則だ。学べば習得できる。

p162
全体の流れはいいセックスに似ている。場の空気を感じて前議をし、徐々に激しさを増して頂点へ。途中で何かが抜けると充実しない。一つの段階が次につながり、体験を盛り上げる。/それ以外の進めかたでは誰も満足しないだろう。

p180
転換点がなければストーリーは成り立たない。/無計画に書く危険はそこにある。支柱も立てずに全体をまとめようとするのは無理だが、それに気づけない。

p190
伏線をそれとわかる形で書くのは簡単だ。微妙なタッチで書くのが難しい。へたをすると誰にも気づいてもらえない可能性もある。[…]隣の部屋から漂う料理のようなものだ。なんの料理かわかる時もあれば、ただおいしそうに感じるだけの時もある。

p196
つまり、主人公は以前にしていなかった何かをしなくてはならない。反応、攻撃、解決、救済、発言、介入、変更、反抗、成長、赦し、愛、信用、信頼、あるいはただ必死に逃げること。

p214
先に進むほど、続きが思いつきやすくなるだろう。ストーリーが要求するものがはっきり見えてくるからだ。

p235
主人公は「内面の悪魔」を克服する。

p235
読者はずっと主人公の心の葛藤を見てきた。ついにそれが解決し、対外的な問題の解決にも生かされるのだ。

p238
作家デビューを目指すならホームラン級のエンディングにしよう。プロがほどほどのレベルで甘んじている中、高評価が得られるかもしれない。

p239
過程を楽しむことと、製品を仕上げることとは別だ。/過程こそすべてだと思っているなら目を覚まそう。出版はほぼ無理だ。

p277
「語りすぎ」はビギナーの原稿に最も多い。

p277
文体の個性自体は悪くない。僕の文体にも癖がある。それは僕がプロとして数十年間失敗を重ねて培ってきたものだ。個性の追求には常にリスクが伴う。

p278
少ないほど多くを語る。極端に減らしすぎなければ大丈夫だ。

p278
文豪のように書かなくていい。書店に並ぶ本を見ればわかる。いろいろな文体のスタイルがあるが、出版社に認められたものには共通点がある。プロの規格に合格しているのだ。今の紙上では無駄がなく歯切れのよい語り口が支持される。

p281
誰かの真似だけはしないこと。編集者は敏感に嗅ぎ分ける。

p281
作家を目指す人は今まで「文章がうまい」と褒められたことがあるだろう。それが逆に足枷になる。言葉の表現に支配されないよう心がければ大丈夫だ。

p296
まずは文章で説明し過ぎるのをやめよう。形容詞や副詞は減らす。よいと思う作品を読んで研究するほど道が拓ける。

p286
たが、一つ確かなことがある。向上心を捨てれば成長は止まる。プロデビュー前に「これ以上は無理だ」と宣言すれば道は閉ざされる。

p290
適切で無駄がなく、プロのレベルで書かれた文章。それがストーリーを読んでもらうために必要だ。編集者に3ページ目以降を読む気にさせる力だ。/読み手に文体を意識させなくなったら合格だ。試合に参加できる。

p312
本を読んだり映画を観たりする時も、コア要素を探し続けよう。

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