[読書メモ]『戦略の地政学 ランドパワー VS シーパワー』
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心理学の実験で、白紙を一枚被験者に見せて、この中のどこかにあなたの家の位置を書き込んでほしいと依頼すると、ほとんどの人は、上の部分に書くという。それは、人間には上から下を俯瞰する習性があり、自分の家も上部に位置づけることが多いと言う。
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欧州のアイデンティティ(自己の存在意識)は、すでに国別に確立しており、欧州人というアイデンティティは実際には存在しない。
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人類の歴史をひもといてみれば、それは未開拓地の利権をめぐる紛争によって彩られていることに気がつく。新たな領域は富を生む可能性があり、誰にでも競争に参加できる資格がある。
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北極は南極とは違って、海域での各国の活動を規制する国際的な取り決めは存在していない。したがって、今のうちに既成事実を固めてしまおうというのが、沿岸国の思惑である。
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ある国の子供たちは大西洋が中心の地図を見て育ち、ある国ではインド洋が中心の地図を学習し、南半球では、南北を逆さにした世界地図を教材に使っている。同じ世界に住みながら、違う世界を見ている人が大勢いることを我々は知らなくてはならない。
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地球上の国家をランドパワーとシーパワーとして単純化し、二元的に国際情勢を分析しようというのは、英国や米国、西欧などシーパワーの国家の論理であって、ランドパワーと名指しされた国々が同じような視点を持っているということには必ずしもならない。
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自由落下式爆弾
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シーパワーの国家群はランドパワー(内陸国家)の国家群に比べて、もともと地政学的に民主主義が根づきやすい安全な環境にある。それは島国、日本とて例外ではない。
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中国は「判決は紙切れにすぎない」と一蹴し、裁判所の判決を無視する方針を表明した。国際法より国内の法を優先する中国の姿勢を自ら明確に表明したことになる。
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沖縄のようなトロピカルアイランドを本土近くに持つ先進国は、日本だけである。
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世界各地の都市を中心にして半径一万キロの同心円を描いてみると、一カ所だけ、世界中のほとんどの地域をすっぽりと覆ってしまう国がある。それは英国のロンドンであり、ユーラシア大陸、アフリカ大陸、北米大陸の全域と南米の北半分がその範囲に収まる。
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現在のように米国との同盟関係のみに依存していては、日本ができることには限界がある。
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二国間の同盟関係だけに依存していると、強い側の発言力が相対的に常に高く、弱い側はそれに隷属しがちになる。
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一九世紀の英国の著名な政治家であり、二回にわたって首相を務めたヘンリー・ジョン・テンプルは一八四八年、英国下院で行った演説の中で、有名な一節を残している。 「英国には、永遠の味方もいなければ、永遠の敵もいない。あるのは永遠の利益だけだ」
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テンプルは冷徹に、同盟関係を国益追求の道具にすぎないと割り切っていた。
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シンクタンクなど、知的分野での交流
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冷戦時代のNATOや米韓同盟はアライアンス(alliance、軍事同盟)と呼ばれ、第二次世界大戦後に作られた同盟の方式である。そして有事の際、同盟国は否応なしに強制的に介入する仕組みができあがっていた。これをトリップワイヤー(tripwire)方式という。トリップワイヤーとは古くからある軍事用語で、もともとは地面に近い場所に敵が侵入してきたときの罠としてワイヤーを張り、それに敵が引っかかるとワイヤーに接続した地雷などが爆発する仕組みのことを言う。
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第二次世界大戦での欧州を考えると、最も効果的だったのは対戦車砲であった。使い手が熟練していなくても戦車を簡単に吹き飛ばすことができ、相手にとっては高価な戦車が無駄になる。
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スマートテクノロジーに投資すれば、単価は安くなるだろう。