[読書メモ]『失敗学のすすめ』
p13
創造力を身につける上でまず第一に必要なのは、決められた課題に解を出すことではなく、自分で課題を設定する能力です。
p82
私は昔、指に糸を巻き付けている人をちょくちょく見かけたものです。その人は、なにかほかの人に連絡することがあった場合、忘れないための印として指に糸を巻き付けていたのです。そうすれば、本人も忘れないし、まわりの人も「ああこの人はなにか後回しにしている連絡事項があるんだな」ということがわかるというすぐれものでした。
p87
新聞沙汰になるような事故やトラブルが、「ある日突然降って湧いたように現れた」などということは、そもそもありえません。
p147
人が自分にとって未知のものを始めるとき、そこには必ず失敗という結果が待っています。
p155
世の中でベテランと呼ばれている人の中には、経験を盾に「オレはこいつのことをすべて知っているんだ」と豪語する人もいます。経験によって理解していることそのものはすばらしいことですが、残念なことにこういう経験第一の態度では、経験を創造に生かすもう一ランク上のステップにまではなかなか進むことはできません。/世の中には、「ベテラン」と呼ばれる人がたくさんいますが、厳密に言えば、体験をベースにしながらも、様々な知識も貪欲に吸収している「本当のベテラン」と、経験だけはたくさんしてもなにひとつ知識化できていないでいる「偽ベテラン」の二種類に分類されます。
pp159-160
現象のモデルがその人の頭の中にできあがっていて、条件変化などによる現象の変化がわかっているからこそ、予期せぬ事態への対応もできるのです。[…]なにも考えてこなかった人が、突発的な事態が起こったときに、突然頭がよくなり、これにうまく対応できるなどということは、残念ながら絶対にあり得ない話です。
p238
「あり得ることは知っていたが、全く考えていなかった」
p252
しかしこの ISO 採用についても実際の生産現場では、QC やTQC と同じく形だけ整えればよいといった風潮がひそかに広がっています。
p255
部下という下の立場にあるかぎり、問題があるとわかっていても個人の努力で状況を改善していくのは難しいことです。しかし、身近で致命的な失敗を起こさせないためには、根気よく提案を続けつつ、ダメ上司の下で見過ごされている小失敗を注意深く監視していく姿勢が必要です。
p256
実際、会議の場での議論で重要な決定がなされることは、現実にはほとんどありません。
p274
いくら貴重な話でも、「知りたい人」が「知りたいとき」に得られないようでは効果がないのは当然です。