[読書メモ]『知的文章とプレゼンテーション』

pi
わが国では、ほとんど日本文の書き方について教育を受けないまま、義務教育が終わってしまう。

p1
人間はいとも簡単に他者を分類する生き物だ。しかもその分類は多くの場合、大した意味を持っていない。__小川洋子

p3
日本の大学の学部別入学者は、人文・社会科学系が 56%、自然科学系が 30% である。

p9
つまり、あれだよ、ほら、人間、長い間生きてりゃあ、いろいろなことにぶつかるだろう。な、そんな時、オレみたいに勉強していないヤツは、振ったサイコロの目で決めるとか、その時の気分で決めるよりしょうがない。ところが勉強したヤツは、自分の頭できちんと筋道立てて、はて、こういう時はどうしたらいいかな、と考えることができるんだ。

p11
これからは、理系、文系という単純な発想を超えねばならない。

p12
われわれは、理系、文系のレッテルにより、偏った教育を受けている。アメリカには、理系、文系を意味する言葉もなく、科目の選択も本人の興味にしたがう。

pp32-33
近年になって、読点が多くなったような気がする。自らを振り返ると、ワープロを打つとき、指の運動のリズム感覚で、右手中指が、無意識のうちに、コンマを打ってしまうためではないかと思う。

pp41-42
テレビを見ながら眠るのは、なかなか気持ちがよいものである。一方的に映される画像を見て、話を聞いているだけだから、それほど精神活動もないまま、いつの間にか眠ってしまう。/本を読むのは、テレビを見るよりは、はるかに積極的な活動である。活字を目で追い、理解し、頭に入れる。気楽な本ならともかく、知的な本となればなおさらである。

p44
締め切りのある仕事と締め切りのない仕事を平行して進めていると、つい、締め切りのあるほうを優先しがちである。しかし、よく考えてみると、締め切りのない仕事のほうが大事なのだ。締め切りのない仕事は、たとえば、研究のように、自分のない面から湧き出た、本当にやりたい仕事のことが多い。締め切りのない仕事に、自ら締め切りを作ることも大切である。

p46
文章の秘伝を聞かれた森鷗外(1862-1922)は「一に明晰、二に明晰、三に明晰」と答えたという。

p52
パラグラフの概念はもともと日本語にはなかった。明治 36 年(1903)、文部省の固定教科書が、パラグラフに相当するものとして、改行して1字下げる「段落」を取り入れたのが、最初と言われている。

p58
『朝日新聞』のコラム「天声人語」はまねしないほうがよい。この種のコラムは、起と転にこだわるあまり、奇をてらった「起」で書きはじめ、「転」は回転しすぎである。

p75
研究は論文となってはじめて、社会が共有する財産となるのだ。論文として発表されなければ、研究データはそのまま消滅してしまう。英語でも、語呂合わせで “Publish or perish”(「発表せよ、さもなければ滅びるのみ」)と言うほどである。

p86
提出期限は絶対に守らなければならない。申請書は、たとえ1時間遅れても、受け付けてもらえない。

p100
必ず英語で書く。レベルの高い専門誌に投稿することを目的に仕事をする。

p125
ポスターのよい点は、実際に研究している若い人同士が、遠慮しないで討論できる点である。

p131
間違いなく話すためには、原稿を作ったほうがよい。

p155
われわれは、英語の好き嫌い、日本語への愛着といった個人的な感情を超えて、英語の世紀に入ったことを素直に認めなければいけない。

p180
ノン・ネイティブ同士で Globish を話しているほうが気が楽なのは確かだが、上達したいと思ったら、積極的にネイティブと話すべきである。

p198
エリザベス・市原によると、科学論文が三人称単数と受動態で書かれるようになったのは、1920 年代からであるという。この書き方は、science style と呼ばれ、学術的論文にふさわしい英文といわれていた。しかし、専門家以外にとっては、退屈で面白くない表現のため、能動態で書くことが推奨されるようになったという。

p218
整理の基本は、分類でも、収納でもない。捨てることである。もし、「捨てるべきか、捨てざるべきか」迷ったら、捨てるほうを取る。その上で、どのように分類し、収納するかを考える。

p281
「分類するな。時系列で並べよ」

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