[読書メモ]『オリエント急行殺人事件』

光文社古典新訳文庫版

p20
しかしポアロの好みから言うと、「美女」と呼ぶにはいささかてきぱきしすぎている。

pp46-47
教育ほど大事なものはないと思いますの。西洋の理想を広めて、東洋の人たちを教育してそのよさをわからせなくてはいけませんわ。

p51
近頃はご依頼者を絞っておりまして。ほとんどお引き受けしていないのですよ[。]

p53
このような不しつけなことは申し上げたくないのですが__ムッシュ・ラチェット、あなたの顔が好きになれんのです[。]

p95
最近の犯罪者はそんなミスは犯さないものです[。]

p181
名乗るほどの者ではございませんが、エルキュール・ポアロと申します[。]

p194
しかし、英国人は判断がむずがしい。なかなか本心を見せてくれませんからね。

p196
あれがアメリカ人のいちばんよくないところだ。すぐに非現実的な夢を見る。

p202
「アーバスノット大佐、実際のところ、個人的な復讐よりも法と秩序のほうが好ましいと思われますか」
「そりゃそうだ。なにかと言うと血の報復に走って、互いに切り刻んでまわるわけにはいかないだろう。コルシカ人やマフィアじゃあるまいし」

p205
「ブッカ」はヒンディー語で「本物の」「信頼できる」を意味する形容詞、「サヒブ」は英領インドで現地人がヨーロッパ人を呼ぶときの尊称で、転じて「紳士」「立派な人物」を意味するようになった。植民地で支配者たることを暗に求められる英国人が、「ブッカ・サヒブ(=真の紳士)」としてふるまわなくてはと感じる、という文脈でよく使われた。

p222
英国人てのは無愛想な人種ですね。まったく人好きがしない。

pp224-225
しかしこれは__これは、そういう種類の犯罪ではない。じつはねこれはじつに綿密に計画され、演出された犯罪じゃないかという気がしてきたんだよ。なんというか__ラテン的な犯罪ではないんだ。さまざまな痕跡からうかがえるのは、冷静で、抜け目がなくて、周到な頭脳の存在だ。言ってみればアングロサクソン的な頭脳だね[。]

p246
「不可能は可能にはなりえない。したがって、不可能に見えてもそのじつは可能なはずなんだ」

p269
「わたし、お茶はそんなに欲しくありませんわ」ミセス・ハバードが涙声で言う。「それは英国の習慣でしょ」

p271
こう狭苦しくちゃ、とてもパーティなんか開けやしない[。]

p273
ヨーロッパは目を覚まさなきゃ。半分眠ってるじゃないですか[。]

p273
フランスやベルギーの娘は色気とかわいげがあって__あれにまさる女性はどこにもいないんじゃないでしょうか[。]

p283
「[…]遠回しに探りを入れるより、ずばり核心に切り込むべきだと思いますわ」
「なるほど、時間をむだにするのがお嫌いなのですね。[…]」

p287
「おそらく、これはわたしたち探偵の悪い癖でしょうね。人間の行動は首尾一貫しているはずだと考えるのです。気分しだいなどということは認められないんですよ」

p301
確実にわかっていること以外は、こうだと決めつけないほうがいい。

pp321-322
英国人を買収するのは簡単じゃない。なにしろとっつきにくい国民だからな。

p357
これが落ちていた理由なら、立派な説明を 11 通りぐらいは考えつきますからね[…]

p385
わたしはゆったり椅子に腰かけ、目を閉じて、じっくりと考えました。

p388
わたしは大佐のようなタイプの英国人のことは知っています。若い女性にひと目惚れしたとしても、時間をかけて慎重にことを進めようとするでしょう__情熱にまかせて突き進んだりはしない。

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