[読書メモ]『精神科医は信用できるか』

p22
日本は指名解雇がやりにくいせいもあって、辞めさせ方が陰湿なものになりやすい。早期退職希望制度といえば聞こえはいいが、実際は周囲の人間が本人を追い込んで、自ら手を上げていくように仕向けていることも多い。子供のいじめと、さして変わらない。

p23
うつ病になる人は女性のほうが多いが、うつ病による自殺は男性のほうが多い。その理由としては、一般的に男性のほうが背負っている社会的な責任が重いことや、女性が自殺を試みるときはリストカットなどが多くて未遂に終わりやすいのに対して、男性は確実に死ねる方法を選択しがちであることなどが考えられる。

pp37-38
物事には何でも「グレーゾーン」があり、それを認めることを心理学の世界では「認知的複雑性」と呼んでいる。それが乏しい人は、完全な「善」とも完全な「悪」ともいえない曖昧な状態に耐えることができない。何事も白黒はっきりさせないと、不安になってしまうわけだ。

p41
フィンランドでは、自殺予防教育を徹底したことで、自殺者数を三割も減らすことに成功した。自殺の予防には、広く国民を「教育」することが効果的なのだ。

pp51-52
日本には大学の医学部が80あるが、その精神科で教授を務めている人々のほとんどが、この生物学的精神医学の専門家である。そのため、大学病院に勤務する精神科医もほとんどが生物学的精神医学のトレーニングを受けている。

p71
精神科医が分析治療やカウンセリングを行う場合、基本的に患者は自分のことについて嘘をつかないということが前提になっている。

pp114-115
不眠の治療法は睡眠薬だけとはかぎらない。薬を使わずに、カウンセリング的な手法によって改善することもある。/たとえば、森田療法もその一つだ。森田療法では、「不安を感じていることに意識を集中すればするほど不安が増大する」という考え方が一つの基本になっている。したがって不眠についても、「自分は眠れない」「眠らなければいけない」などと気にすればするほど、かえって眠れないくなると考えるわけだ。/実際眠れないことを気にせず、横になって本でも読んでいると、いつの間にか眠っているということは少なくない。安易に睡眠薬に頼らず、さまざまな選択肢を検討すべきだと思う。

p130
行動療法とは、患者の行動を変えることで心のあり方を変えようとするもの。自律訓練法は、自己催眠によるリラクゼーションのようなものだ。心療内科では、リラクゼーションのためにヨガなどを取り入れているところもある。

p137
よくあるのが、異性のカウンセラーに恋愛感情を抱いてしまう、「恋愛転移」というケースだ。

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