[読書メモ]『サヨナラ、学校化社会』

p14
高三での進路選択にもっとも影響力をもつ重要な他者はだれか。それは親でもなければ友人でもない。高校の進路指導の教師だということが調査からわかりました。

p18
偏差値三流校、四流校の学生は本を読みません。

p24
制度あるところ抜け道あり

p28
逆説もアイロニーもなにもない

p30
自分のやった仕事へのレスポンスが気にならないというのも、よくわからないことです。

p33
わずかな非常勤給をパーにしました

p35
影響力は百パーセント、影響を受けるがわの選択に依存します。影響力を持っているという言い方をするけれど、それは倒錯的な言い方で、影響力はそれを持っているとみなされる人が自分の意志で行使したいと思っても、できるようなものではありません。受けるがわが影響されようと思って影響されるものです。

p37
これまで偏差値の劣位者として自分の言うことに価値がないと思わされ、だれにも耳を傾けてもらえなかったのに、いまはクラス全員が自分の言うことを待ってくれているという喜びとともに、堰を切ったように発言し始めます。

p38
ここでは自分の無知をさらしてはいけない、と脅えさせるような雰囲気があるのです。

p76
八方ふさがりにして、子どもの退路を断つことを、大人がよってたかってやっている。

p82
ティーチャーズ・ペット

p87
学歴資源よりも自分の女性性資源のほうに価値をおいて、偏差値で自分がハイパフォーマンスをやるかわりに、ハイパフォーマンスをやる男性をゲットする

p88
リブやフェミニズムは「ブスのヒステリー」と言われたけれど

p93
経験を言語化する能力をもっていた

p102
偏差値の高い子たちが、自分にたいする決定的な相対評価を受けることへの恐怖心がひとつの動機

p104
この「女らしくあれ」というのは男にたいしては控えめに、自分の脳力を見せないようにして、相手を立てて、自分の利益より相手の利益を優先し、おバカさんのふりをしないさいというつつましさの美徳です。

p110
理三(医学部進学コース)
文一(法学部進学コース)

p119
5分考えて答が出てこなかったら、もう考えるのを止めろと言います。5分で出てこない答は、もう答ではない。

p122
人と違うことを言うたびに頭を打たれ、足を引っ張られるような経験を18年間やってくるか、それとも人と違うことを言うたびに「それはおもしろいね、よくやったね」と、頭を撫で、手を持ってひっぱりあげられる経験をするかの差なのです。

p128
どんなささやかなものであれ、情報生産者のがわに回ってほしい。

p130
私学などで就職の可能性がはじめからないところでは、学部からの学生よりも女性と社会人を優先的に入学させるというところさえ出ています。女性と社会人なら、大学が就職を保証できなくても言い訳がきくから、というのです。

p131
助手
2007年から「助教」と改称。英語名 assistant professor となった。

p146
私は学生たちに「君たちはぜいたくな人生を送っているんだよ」と言っています。彼らにはこれをやれと命ずる上司もいない。どこのだれにも気兼ねなく、頼まれもしないことを自分の研究テーマとして選んでいるのですから。

pp146-147
それでも、こんな就職浪人のような状態では、ここまで育ててくれた両親に申し訳ないと思う学生には、私はいつも「子は3歳までに親の恩を返す」と言います。これはすばらしいことわざです。子どもは3歳までは本当に無垢な生き物で、その無垢な生き物が懸命に日々を生きていて、目のまえで目覚ましい変化を遂げて天使のように笑ってくれる。それで十分、親に恩を返しているのだから、これ以上、重荷を背負わなくていいよ、と。[…]就職の保証はなくても、自分自身の楽しみのために生きようと生き方を転換したら、優等生シンドロームからは卒業できます。

p148
私は、推薦状を書いてくれという学生には、私の目から見えるあなたは教室で見るあなたでしかない。推薦状を書いてほしければ、自分はこんなオフ・キャンパス・アクティビティをやっているという「ウリ」を持ってきなさい、と言います。学校でもない、家庭でもない、それ以外の場で、私はこんなことをやっている、そういう「ウリ」を、私の目には見えないから自己申告をしなさい、と言っています。

p166
「一次情報にもとづいて、その情報から言える範囲のことを言いなさい。最初に持っていた自分の思い込みを再生産するようなことは、絶対にやらないように」

p168
その人が進んで話したことのなかに、その人のリアリティがいちばんよく現れている

p174
自分でとってきた一次情報をファーストハンド・データといい、そこから加工され二次情報をセカンドハンド・データといいます。

p175
図書館で調査することをライブラリー・サーベイ(調査)ともいいます。

p181
かねてから用意しておいたカードを切りました

p192
私はそれを拾って文脈化していくのです。ある文脈におくとそれが金だということがわかる。組み立て方、料理の仕方しだいです。

p192
大学時代、私の語学の成績はほんとうに低空飛行でした。忍耐力はないし、教師のあとについてチイチイパッパをするのが大嫌い。英会話サークルなどでぺらぺら英語をしゃべる連中が中味のあることを言っているとは思えないし、軽薄そうに見える。おまけにアメリカが好きなんて、なりふりかまわゆ上昇志向と田舎根性の丸出しで、恥ずかしくてならない。だから英会話の勉強をしようなどという気にはまったくなりませんでした。

p194
外国語を覚える方法はただ一つ、他人の口まねをすることよりありません。赤ん坊が言葉を覚えるのとおなじことをやるのです。私の友人に日本人女性と結婚したオーストラリア人の研究者がいます。彼は実に流暢な日本語をしゃべるのですが、おかしいことにそれが女言葉なのです。妻の言葉を口移しに覚えたから、大男の外国人が「そうなのよねえ」などとやっている。しかし、それ以外の言葉の覚え方はないのです。私もそうやって、まわりの人の口まねをして英語を習得していきました。/その点で、私は一人で行ったということと、そして女だったということがとてもラッキーでした。女で一人だと、努力しなくても人が寄ってきてくれます。まず男が寄ってくる。女も寄ってきてくれる。女性は勤勉だから英語がうまくなる、などという話ではありません。女性というジェンダーのおかげで、まねる対象が近づいてきてくれる。これが一人で男だと、自分からアプローチしないといけないし、おまけに男に近づかれた女性は逃げるでしょう。

p200
リエントリー・カルチャーショック[…]再入国文化摩擦

p200
私には青年海外協力隊の人たちに知り合いが多いのですが、みんながみんなそうとはかぎりませんが、帰国してからの彼らを見ていると、どこかでディアスポラの気分で生きている感じがします。日本の社会のなかに表面上、溶け込んでいるように見えても、どこかでしっくりいかない自分の一部を抱えこんで、移民や難民として生きているみたいなところがある。

p201
外国人だと思えば、どこでも生きていけます

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