[読書メモ]『四つのサイン』
- シャーロック・ホームズ , 読書
- 2018/03/03 Sat 08:21
p19
ぼくは、ただ、可能性を秤にかけて言ってみたまでだ。
p119
ホームズは、気が向けば、よく話すほうだったが、今日はとりわけ調子が良いようだった。神経が高ぶっているらしくて、これほど口数の多いホームズを見たことがなかった。
p121
そこで、ぼくは化学分析に熱中して、十分に頭を休めた。わが国のある偉い政治家が、別のことをするのは最高の休息だと言っているよ。
p186
「ギニー」という通貨単位は、1971 年に英国の貨幣制度が十進法に移行した際に廃止された。
p187
ランガム・ホテル/このホテルはリージェント街の北端ランガム・プレイスにある。当時のロンドンのホテルの中で、最も名高いホテルのひとつだった。
p220
おかげで私は、自分は全くの場違いな人物なのだ、と感じなくてすんだのである。
p220
その一方で彼の話の中身は非常に独特のものであった。彼の所説には奇妙なほどの正確さがあり、また繊細なユーモアの完成を持ち合わせていて、自分の言わんとするところを説明するために小さな身振りを入れる術を心得ていた。こうしたもの全てが、彼独特のものだった。その効果を再現することは不可能である。
p224
《緋色の習作》のことも、それとなくほのめかしているところがあり、私は《緋色の習作》もこの作品と一緒に出版していただけるなら、こちらもまた売れるものと思っております。
p235
ホームズが、コカイン(「7パーセント溶液」)に依存している様をまざまざと描いたこの場面は、少年の読者を対象とした版からは削除されていることがときどきある。
p240
ワトソンは「天候が変わるたびにうずく」負傷した足をいたわり、ホームズは「単調な日常生活の繰り返し」にいらだっているが、共に独り者の気軽さにくつろいでいる様を我々は目の当たりにする。
p240
ベイカー街 221B の部屋は、気楽さと男らしさとクラブ的雰囲気に満ちた、恋愛沙汰の煩わしさからの避難所であった。
p251
「リピンコッツ・マガジン」誌への初出時には、《四つのサイン》の挿絵は一枚だけだった。
p239
《四つのサイン》のなかに無数に示されている記号のなかで、何をシニフィアンとして拾い上げるべきかは読者に完全に任されている。
p263
余談であるが、ホームズの敵 Moriarty のスペリングのなかにはドイルの母 Mary の名前が隠されており、Moriarty から Mary の文字を引き算した残りである trio(三人組)は、この妹たち三人を指すのではなくて、Mary と Waller と、両者の関係を黙認したドイルの三者を意味しているのであり、母メアリと彼女をめぐる三人の関係を「ホームズの敵」という形に表して、ドイルが憎んでいることを示しているのである[。]