[読書メモ]『大衆の反逆』

【ちくま学芸文庫】

p13
ものごとに驚き、不審を抱くことが理解への第一歩である。

p32
外交辞令は真理と対立からであり、結局は真理が勝利を収めるべきだからである。

p49
われわれの時代は絶頂ではない。しかしながら、自らは今までのすべての時代の上にあり、今までに知られているすべての頂点を越えるものだと感じている。

p69
アメリカ合衆国のような新興国の成長ぶり

p70
今日のヨーロッパの平均人は、前世紀の人間よりもはるかに健全で強靱な精神をもっているのは事実だが、しかしその精神はまたはるかに単純でもある。

p78
19 世紀は、本質的に革命的であった。

p99
わたしは大衆人がばかだといっているのではない。それどころか、今日の大衆人は、過去のいかなる時代の大衆人よりも利口であり、多くの知的能力をもっている。

p191
今日の世界が呈している光景は、典型的に子供っぽいものである。

p192
幼い諸民族が示している浮薄な光景は、嘆かわしいかぎりである。

p203
人生の生は、その本質上、何かに賭けられていなければならない。

p204
第一次世界大戦後ヨーロッパ人は自己の内部に閉じこもってしまい、自分のためにもまた他の人々のためにもすることをもたなくなってしまった。だからこそ、われわれは歴史的には 10 年前と同じ状態を続けているのである。

pp226-227
デモクラシーの健全さは、それがどのようなタイプのものであっても、またどのような段階のものであっても、一に選挙という貧弱な技術的操作にかかっている。

p283
オルテガに関する場合、彼の「環境は自己の人格の半分を形成する」という言葉からも想像できるように、彼の環境というか、彼をとり巻く周囲世界を知ることが極めて重要である。

【中公クラシックス】

p4
われわれは 20 世紀の諸問題を何一つ解決しないままに新世紀に突入したのである。

p8
ヨーロッパ近代は次の3つの R から成り立っている。すなわちルネッサンス、宗教革命、そして革命である。

p7
群衆という概念は、量的であり、視覚的である。

p16
私がいってきたし、いまもって毎日確信を強めながら信じていることは、社会は貴族的であるかぎりにおいて社会であり、それが非貴族化されるだけ社会でなくなるといえるほど、人間社会はその本質からして、いやがおうでもつねに貴族的なのだということである。

p39
平均的な人間による生は今日、地球全体を包括しているのであり、ひとりひとりの個人は毎日、全世界を生きているのだ、ということである。

p70
過去においては、平均人にとって、生きるとは、周囲に困難、危機、欠乏、運命の制限、隷属を見いだすことを意味したのに、新しい世界は、実際上無限の可能性をもち、安全で、だれにも隷属しないですむ環境のように見える。

p76
年をとるに従って、大部分の男は__そして女も__、外的な強制への反応のように、否応なく押しつけられる努力以外には努力する力がないことに、いやというほど気づくであろう。

p82
アナトール・フランスは、愚か者は邪悪な人間よりも始末が悪い、といったのだ。

p97
このごろ、技術の驚くべき進歩がつねに話題にされているが、その場合に、人々がまことに劇的な技術の将来性について意識して語っているとは思えない。

p129
現代はまったく特殊な側面をもっているが、現状をはっきりさせるためには、過去との共通点を調べるのがよい。

p172
もし子供がなければ、われわれは年をとらないか、年をとるのにずいぶん時がかかるだろう。

p173
お祭りは長く続くものではない。

p174
ヨーロッパが支配をやめたとしても、もしもだれかヨーロッパにとって代わる能力のある者がいれば、問題ないだろう。しかし、そんな者は影さえ見えない。

p181
人間の生は、本来の性質からして、なにかに賭けねばならない。

p184
スペインを旅行する人をいちばん喜ばせることの一つは、街中でだれかに、これこれの広場や建物がどこにあるかとたずねると、相手は自分の行こうとしていた道を行くのをやめて、親切にもこの旅人のために犠牲となり、その人の行きたい場所まで案内してくれることがよくある、という点である。

p204
生のなかで道を見うしなわない人が、真に頭脳明晰なのである。

p204
諸君のまわりにいる人々を見れば、いかに人々が自分の生のなかで道に迷っているかがわかる。

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