[ホームズ学] パイプに挑戦してみた
最も避けるべきものは何か。それは現状維持である。現状維持は衰退、退廃に等しいが、現実は個人も組織も国家も、現状維持から抜け出せる人はなかなかいない。「今までのやり方でなんとかまわっているからいいや〜」としてしまう。
現状維持を脱するにはアティチュード(考え方、態度、マインドの使い方)を変える必要があるが、その最も簡単な方法が新しいことを次々と始めることだ。過去の自分では手を出さなかったことにどんどん挑戦しよう(ただし、やりたくないことはしてはいけない)。
私が 2018 年に新しく始めようと思ったのがパイプだ。シャーロッキアンとしてパイプが以前から気になっており、去年のイギリス旅行ではついにパイプを買ってきた。
[イギリス旅行] シャーロック・ホームズ・グッズの購入 – 読書ナリ
https://dokusho.nary.cc/2017/10/23/buying-sherlock-holmes-goods-in-england/
さらに『パイプ大全』という本も読んだ。この本はパイプの詳細な解説が書かれており、さらに著者のパイプ好きが伝わってきて、すごくいい本だ。
なお、私はタバコは吸わない。試しに吸わせてもらったことがあるが、美味しいとも思わなかったし、一日何十本も吸う人を見て、「あんなのを吸うのはバカのすること」と考えていた。それでもあえてパイプに挑戦しようとしているわけだ。
それでもまだパイプを始めていなかった。パイプの葉を買うのは、ネットでは年齢確認書類の提出などで面倒だし、実店舗は怖そうなおじさんがやっている気がして億劫だった。
でも、最近ホームズ本を読んでホームズ熱が上がってきているので、このノリでお店に行ってみることにした。パイプは持っているので、パイプの葉を探しに行った。
行ったのは名古屋・栄の中日ビル地下にある「スピリッツ」というお店だ。
店舗案内 – スピリッツ|世界の銘酒&たばこ専門店
https://www.e-tabako.com/ホーム/店舗案内/
中日ビルタウン店舗のご案内~スモークショップ スピリッツ|チュータン・中日ビルタウンスタッフブログ
https://ameblo.jp/nagoya-chutan/entry-11291254984.html
大須にもパイプを扱うお店があり、そちらは「小さなお店」だけど、スピリッツはさらに小さい、「駅のスタンド」的なお店。ただし、扱う品の数は多い。パイプはもちろん、シガレット、葉巻、紙巻きタバコ、キセル、お酒まである。ロンドンで一つ高いパイプを買ったが、ここにあるのは5万円を超えるものまであった。
『パイプ大全』を読んだのは2ヶ月前で内容はあまり覚えていないし、さらに、あえてネットで「オススメのパイプの葉」などは調べずに行った。お店で素の状態で選ぼうと思ったのだ。
案の定たくさんありすぎてどれを選べばいいのか分からず(簡単な説明文は書かれていたが)、店員さんに素人にも始めやすいものを教えてもらった。店員さんはとても親切な人でよかった。いろいろ教えてくれるが、押し付けをすることもなく、正直に話してくれる人だった。
お店で扱うパイプの葉は、日本で出回るものはすべて揃えているという。袋に入ったものと缶に入ったものがあり、後者の方が湿気を防ぎやすいらしい。缶をコレクションするのも面白そうだったので、缶の方にした。中にはバニラ等で甘い味のものもあるらしいが、スタンダードなものを最初は試してみることにした。最後はえいやと適当なものを選んだ。ダンヒル・アーリー・モーニング 50g で、1750 円だ(どの葉も同じような値段)。
支払いは高額なパイプなどはクレジットカードを受け付けているが、パイプの葉のような低額のものは現金のみ。
さっそく家に帰って『パイプ大全』をざっと見ながら試してみた。
葉っぱをパイプの8分目ぐらいまで詰め、上から押さえる。押さえるのには「タンパー」と呼ばれる押さえ具を使うのが本来の方法だが、持っていないので割り箸の先で押さえた。詰め具合や押さえ具合は、よく分からないのでなんとなくだ。
最初はマッチで火をつけてみた。着火してもすぐ消えてしまう。何度か繰り返して、このままではマッチを大量消費してしまうことに気付き、ライターを使うことにした。
着火を繰り返して、やっとうまく火を保てるようになった。
ここで分かるのが、通常のタバコは簡単に火がつくようにできていること。火薬が加えられているからだ。簡単に火がつき、すぐに消費できるようになっている。簡単に吸えて、すぐなくなり、タバコ中毒になるように、「よくできた」仕組みである。パイプは道具を揃えたり、葉を摘めたり、何かと手間が掛かる。
約5回吸うごとにタンパー(割り箸)で葉を軽く押さえる。こういった、いろいろな作業が発生するから、最初は誰かに教えてもらったり、本で読んだりしないと分からないよね。
味も意外と悪くない。以前葉巻を試し、味はいまいちだったが、今回は吸いやすい葉を選んだせいもあるけど、好みだった。
なお、煙は肺に入れない、口腔(こうこう)喫煙がパイプスモーキングの基本である。口に煙を入れ、そのままはき出す。だから、タバコをほとんど吸ったことがない私でも咳き込んだりしなかった。
味も悪くないし、さらに火が消えてはいけないと、プカプカとハイペースで吸って最後まで吸い切った。すると、急に気分が悪くなった。回転性のめまいが起こり、ついには吐き気まで起きた。急性ニコチン中毒、いわゆるニコチン酔いと呼ばれるものだ。タバコに慣れていない人によく起こるらしい。知識として知っていたのに、吸うときは忘れていた。
ひどい気分の悪さは1時間ぐらいでおさまったけど、しばらくグッタリして、夜だったのでそのまま寝た。慣れない最初の段階では、もったいなくても5分ぐらいでやめておくのがいいのかもしれない。今回は 20 分ぐらい急いで吸っていたからね。
それでも、今のところは「やっぱり、パイプなんてやめよう」とは思っていない。最初に火をつくのがうまくいき、パイプの先から煙が出て、吸ってみるとたくさん口の中に入る。それをフーッとはき出すと、なんとも言えない快感を味わえた。今まで体験のしたことのない領域だからね。これで私も名探偵(?)。
正しい方法で吸えているのかもよく分からなかったけど、1週間おきぐらいに継続して吸ってみてコツを研究してみよう。
缶はしっかり閉まっているので、マイナスドライバーで開けた。 ギッシリ葉が詰まっている。 使ったパイプ。ロンドンのシャーロック・ホームズ博物館で買ったものだ。