[読書メモ]『愛着障害』

pp19-20
安定した愛着スタイルのもち主は、相手が助けになってくれうると信じきっているので、実際にすぐに助けや癒やしを求め、それを得ることができる。しかし、不安定な愛着スタイルの人は、そんなことをすると拒絶されるのではないかと不安になって、助けを求めることをためらったり、最初から助けを求めようとはしなかったりする。

p43
現代社会では、最後の受け皿になってくれる祖父母のような存在も身近にいなくなっている。

p58
そんな川端少年の楽しみは、庭に生えた木斛(もっこく)の木に登って、読書をすることだったという。現実の世界が、いつどうなるかわからない寄る辺(べ)のなさのなか、本の世界だけが、川端少年にとって、安全な避難場所となっていたに違いない。

p100
親から受け入れられ、評価されることで、子どもの自己肯定感は高まる。

p264
傷つけられたり、説教されたり、秘密をもらされたりする心配なく、何でも話せる人をもつことが、それを媒介として、変化を生み出す第一歩なのである。/身近に安全基地となる存在をまったくもたないという人もいるだろう。そうした人にとって、本やネットの世界が、仮の安全基地となっているということも多い。自分を表現し、それに対して反応してもらえるブログやチャットは、安全基地となる要素を備えている。

p265
愛着不安の強い人は、一度に何もかも話さずにはいられないような衝動に駆られ、性急な告白をしてしまいがちである。しかしそれは自分の恥部だけを相手に見せるようなもので、相手を面食らわせ、対等な関係を築くのを妨げてしまう。

p284
書くという行為は、ある意味、愛着表現の自己治癒の試みと言えるかもしれない。/作家に、愛着障害を抱えた人が非常に多いという事実は、創作という行為が、愛着の傷を癒やそうとする、無意識の衝動に駆りたてられたものだからだろう。

p295
役割をもつこと、仕事をもつこと、親となって子どもをもつことは、その意味で、どれも愛着障害を乗り越えていくきっかけとなり得るのである。

p265
大事なのは、どんなに小さなことでもいいから、自分なりの役割をもち、それを果たしていくということである。自分にできること、自分の得意なこと、人が嫌がってやりたがらないことなど、何でもいいから思い切ってやってみることである。ただ、自分のためにやるというよりも、家族や周囲の人のためにもなれば、いっそう良い。それを続けていくことが、自己有用感を回復するきっかけになる。/その場合に大切なのは、すべきことととか義務といった、それまでのその人を縛っていたものとは、一切切り離して考えることである。学校や仕事のことで頑張れなくても、その人にできることは、ほかにもたくさんあるのだ。

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