p133
かつてのアフガニスタンでの軍隊経験は、すくなくともひとつだけは私にご利益をもたらしてくれていた。いつでも即応で旅支度がととのえられるといいうことである。

p258
さてと、ワトスン、これからベイカー街へまっすぐ馬車をとばせば、下宿の朝食にまにあうだろう[。]

p264
ここに拡大鏡がある。ぼくのやりかたは知っているだろう。

p275
「きてくれるのなら、大歓迎さ。夕食は七時だ。きっと山鴫(やましぎ)が出るはずだよ。ああ、それで思いだしたが、今回の鴫鳥の件もある。ハドスン夫人に鳥の餌袋よく調べてくれるよう頼むべきかもしれないな」

p303
それから謝礼のことですが、ぼくには仕事そのものが報酬ですから、いずれご都合のよいときに、かかった経費だけでも負担していただく、そんなところでどうでしょう。

p335
今夜はこれからたっぷり恐怖を味わわされるはめになる。だからいまのうちに、のんびりパイプでもくゆらせて、せめて、二、三時間、もうすこし楽しいことを考えて過ごそうじゃないか[。]

pp364-365
ですが、ぼくには生まれつき強情なところがありまして。ことに邪魔だてされると、かえってそれをやりとおそうと意地になる。

p398
「わかりました。会衆席に紳士がいたとおっしゃいましたね? そうすると、一般のかたも式場内にいたのですか?」
「そうなのだ。教会がひらいている以上、関係者以外は追いだすというわけにもいくまい」

p519
われわれの慣れ親しんでいる日常と、国が違い、時代が異なり、身分などの社会制度に変化が生じているために気がつきにくいが、そういう違いを取り払ってみると、意外にホームズ譚というのは日常的な謎を扱っている作品が多いのだ。

pp531-532
いわば「知的黙読層」が一挙に拡大したのが、イギリスではまさに 19 世紀末のことだった。