今回のイギリス旅行はツアーで参加した。旅行前に予想していたとおり、良かったことも悪かったこともあった。

まず、ツアーだからこそ個人旅行では行きにくいところにも行けたし、食べたことのない料理も食べることができた。今回行った湖水地方やリバプールなんかは、イングランドのかなり北の方にある。自分で行くには結構大変な位置にあるけど、ツアーならバスで連れて行ってもらえる。

そして、名前は知っていても食べたことのなかったイギリス料理も食べれた。ジャケットポテトやブラックプディングなんかは今回初めて食べた。

車酔いしやすい私はバスでの移動は本当は苦手なんだけど、荷物をバスに置けるのは楽だった。観光地を移動するたびに一旦バスに戻る。その時、荷物を置いておけるので、買い物をして荷物が増えても楽だった。

一方ツアーゆえにイマイチだったのは、今回はやや年齢層が高くて話が合う人がほとんどいなかったこと。夏休みなどでは若い人が多いみたいだけど、今は時期的に年齢層が高かった。しかも、関西発のツアーだからか、関西の人が多かった。大阪のおばちゃんと旅行するのは繊細な我が家族にはキツかった。他の人は無駄に集合時間が早いんだよ。自由時間でも 15 分前にはもう集合している。普通に集合するとうちの家族はいつも最後になってしまう。誰も何も言わないけど、無言のプレッシャーを感じる。急(せ)かされている感じがして落ち着かなかった。

イギリスのような旅行しやすい国にわざわざツアーで来る人は、英語がほとんど分からない人が多いようだ。しかも、今回は 32 人と大人数。ガイドさん一人で全員をくまなく面倒見ることは無理である。いいことか悪いことかよく分からないけど、気が付けば、英語が分かる私が通訳として他の人の手伝いをしていた。

以前ツアーに参加したときもそうだったけど、最終日の最後の食事はなぜ中華料理なんだろう。せっかく海外に行ったんだから、最後までその土地の料理を食べたい。それも納得いかなかった。

さらに唖然としたのは、ローストチキンにグレイビーソースを掛けて食べるイギリス料理があるんだけど(シンプルでなかなかおいしいよ)、ガイドさんがわざわざポン酢や醤油を用意している! 海外で日本を再現する必要はないんだよ。日本人視点を離れ、相対化することに海外旅行の意味がある。水一つとっても、海外のものを買うだけで発見がある。参加者の年齢層が高いとはいえ、その現状維持体質はいかがなものか。

人の趣向が細分化された今日には、ツアーのような「みんなで一斉に行動」というのは難しいのかもしれない。特に知らない者同士だとね。ロンドンでは、オプショナルツアーが用意されていたが、最小催行人数に達しなかったので催行されなかった。みんな自分の好きなところに行きたいんだよ。

東南アジアや東欧、南米、ロシアのような個人旅行が難しい国はツアーもいいと思う。お年寄りで自分で動くのが難しいときもツアーがいいと思う。しかし、一国しか回らなかったり、欧米の観光しやすい国ならば、個人旅行の方がいいのかもしれない。

最後にツアーのアンケート用紙が配られた。私はツアーに限らず、アンケートというのは主催者側の怠慢だと思う。主催者側は客の立場に立って考えていれば、いちいち客に聞かなくても分かるでしょ。サービスを改善していくつもりであれば、自然と相手の立場に立って良くしていくはずである。

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面白いなと思ったのが、毎日配られる日程のメモが転写用紙だったこと。流動的な内容の予定表はガイドさんが現地で用意する必要がある。コピー機を使わずに全員分に同じ書類を配布するには、転写できる用紙だと便利だ。賢い方法だと思った。

ツアーに提案することがあるとすれば、ガイドさんがもっとスマートフォンなどを活用することだ。旅行中のガイドさんの話で、時々「それネットで調べれば分かることじゃないかな」と思うことが何度かあった(私は自分の iPad で調べていた)。参加者との現地の連絡手段として SNS なども利用できそう。オーディオガイドという無線でガイドさんの声が聞こえる装置を持たされたが、これも何らかの方法でスマートフォンでできそうな気もする。