p15
中流階級はそれぞれのパートナーを大切にする。しかし上流階級は、社交の場ではふだん話さない相手とできるだけ話さないといけないと考える。上流階級のディナーパーティーの席順は、男性と女性が必ず交互に座り、夫婦が隣り合わせにならないよう細心の注意が払われる。

p18
上流階級は「スコン」と発音するが、労働者階級は「スコウン」のように発音する。不思議な話だが、考えすぎて間違えるのだ。「スコウン」のほうが上品な感じがするので、労働者階級はそちらが正しいと誤解してしまう。

p20
80 年代後半のあるとき、わが家が階級のはしごを上がっていることを示す兆候を見つけた。子どものころは、お昼に「ディナー」を食べ、夜の早めの時間に「ティー」を食べた。これは労働者階級の言い方だ。でも、ぼくが高校を出るころ、わが家は中流階級の仲間入りをしていたのだろう。昼食は「ランチ」、夕食は「ディナー」と、中流の言い方をするようになっていた(ちなみに上流階級は夕食を「サパー」と呼び、「ディナー」はフォーマルな食事だけを指す)。

pp20-21
友人が言っていたことだが、レースのカーテンは階級を見分ける大きな手がかりになる。労働者階級の家にはレースのカーテンがあり、中流と上流の家にはない。これはとても便利な手がかりだ。[…]労働者階級は通りに近い家に住んでいたことが多いから、目隠しにレースのカーテンをつける。

p21
上流階級だけが持っている知恵もある。たとえば「ウィンザーノット」の結び方だとか、どのカフスボタンがどのタイに合うかといったようなことだ。

p22
育ちのいい学生が集まる大学に行くことになったとき、ぼくは食事の席でドジはするまいと心に決めた。スープが残り少なくなったら、皿の手前を持ち上げて傾けることも学んだ(自分のほうに傾けるとガツガツしているように見える)。オリーブの種の正しい吐き出し方も学んでいた(せきをしたふりをする)。

p27
イギリスの芝生が美しいのは、いつもきちんと雨が降るおかげだ

p33
ユニオン・ジャックの人気は、イギリスに対する感想より、むしろグラフィックデザインの一作品として優れていることが関係しているように思う。

p35
たいていの人はユニオン・ジャックは左右対称で、したがって上下もないと思い込んでいる。

p36
ウェールズの旗はかっこいい。

p43
イギリス人は家を頻繁に売り買いするのがならわしになっている。

p43
ある年齢から、イギリスでは賃貸住まいがどこか恥ずかしいこととされるようになる。賃貸の家に住んでいるのは、女性とまともにつき合ったことがないようなものだ。

p52
イギリス料理でもうひとつ、ぼくが大きな関心を払っているのがライスプディングだ。[…]米を使ったどろりとした甘いデザートというのは、日本人にはかなり気色悪く映るようである。

pp54-55
ぼくがもう少しおすすめできるのはスコッチエッグだ。固くゆでた卵をひき肉などで包み、パン粉をつけて揚げた料理である。

p56
実は揚げチョコバーはどこにでも売っているわけではなかったのだが、メディアが健康によくないという話を書き上げたことで、逆に増えていったようだ。スコットランド人は説教されるのが嫌いだ。

p56
イギリス人は自分たちの料理について、内輪にしかうけないジョークを流しては楽しんでいる。

p68
王位継承権を持つ王子が一般庶民と結婚したのは、およそ 350 年ぶりだという。

pp79-80
日本でぼくは「おたく」という言葉を知った。たいていは「nerd」という英語に訳されていたが、ぼくはこの言葉があまり好きではなかった。イギリスにはもっとぴったりの言葉がある。「anorak(アノラック)」である。安くて丈夫なコートのことだが、駅のホームでノートとカメラと小さなレコーダーを手にして列車を観察している人たちは、驚くべき比率でアノラックを着ている。

p82
「ビッグ・ベン」というのは時計でも時計塔でもなく、塔の中にある鐘のことをいう。

p103
イギリスとアメリカの大きな違いは、イギリスには非白人がたくさんいるが、大半は第二次世界大戦後に渡ってきたという点だ。

p114
イギリスには「tea and sympathy(お茶と思いやり)」という決まり文句もある。

p122
ぼくはダージリンの繊細な香りも大好きだ(ダージリンには「お茶のシャンパン」という異名がある)。

p163
イギリスの食べ物に挑戦しよう。思っているほどまずくないかもしれない。もしまずかったら、土産話がひとつ増えたと思えばいい。

p165
覚えておいたほうがいいルール__アメリカでふつうのころがイギリスで正しいわけではない。

p165
女性の友人へのあいさつはもっと面倒だ。握手してくる女性もいるし、片方のほおにキスする人もいるし、両方のほおにキスする人もいるし、ハグをする人もいる。どれもが気恥ずかしく思えても、心配はいらない。イギリス人もどうするべきかよくわかっていないし、誰もが気恥ずかしい思いをしている。

p168
北部の人を好きになるかどうかは、きみしだいだ。

p171
こういう悪意のない冗談はイギリスではごくふつうだ。ぼくらはこれを「wind up(からかい)」と呼ぶ。ばかばかしい話を誰かに信じさせることができたら、きみの評価は高くなる。

p185
イギリスには古くから「タウン対ガウン」という空気がある。大学町に住む人々(タウン)は、恵まれた数年間をその町で過ごす学生(ガウン)が気に入らなくて、ときには暴力ざたを起こしたりする。

p206
2000 年には「散策の自由」法が制定され、人々が自由に歩けるエリアが山やヒース(荒れ地)、果ては私有地にまで拡大された。

p216
イギリス人は面白がって外国人にマーマイトを食べてみるようすすめ、彼らが顔をしかめるのを見て喜ぶ。

p224
きみは町なかで道を聞かれたり、駅で「この電車は○○に行きますか」などと聞かれることがあるだろう。見た目で外国人とわかるはずなのに、なぜ自分に聞くのだろうと不思議に思うかもしれないが、イギリスでは東洋人の顔をしているからといって外国人だとは限らない。