[読書会]『ゲンロン0 観光客の哲学』
今月の読書会の課題本は東 浩紀『ゲンロン0 観光客の哲学』。
東さんの本で読んだことがあるのは以下。
『父として考える』共著
『弱いつながり』
『東京から考える』共著
『存在論的、郵便的』
『IT時代の震災と核被害』共著
『ショッピングモールから考える: ユートピア・バックヤード・未来都市』共著
東さんの本は共著は分かりやすいけど、単著は難しい。ただ『弱いつながり』は例外だ。東さんも書いているように『弱いつながり』は一般書という位置付けだから。
私は『弱いつながり』を読んですごく感銘を受けたので、今回の課題本はその続編だと思って楽しみにしていた。でも、実際に読んでみると・・・難しくてあまり理解できませんでした>< 冒頭部分は『弱いつながり』に近い話なので分かりやすいけど、後半になるにつれて難しい。課題本は4回読んだけど、結局たいして理解していないまま読書会に臨んだ。
観光の話だと思うと混乱するけど、本書は「他者の哲学」がテーマである(p17)。関係性についての話だと考えて読もう。
でも、私はさらに進んで<人類の進化>についての本だと思った。
私は<現状維持>こそが諸悪の根源だと考えている。現状の自分に凝り固まるのは、個人であれ、社会であれ、企業であれ、国家であれ、悪い結果しか生まない。でも多くに人はしてしまう。現状の自分がコンフォートゾーンになっている。
近いうちに私は引っ越しをするんだけど、引っ越し先を決める際にワイフがどうしても実家の近くに引っ越したがる(今も実家から 15 分程度の場所)。私は現状から脱したいので、できるだけ現在とは違う場所に住みたいのに、結局実家から歩いて3分程度の場所になった。引っ越しは現状を脱するチャンスなのに、これでは引っ越ししていないのと同じだ(でもワイフにお金を出してもらうので文句が言えないんです・・)。
さて、私が本書を人類の進化の話だと思うのかというと、人間は人間が嫌いなのに社会や公共性を作ろうとするし(p64)、子として死ぬのではなく親としても生きなければいけないと著者が主張するように(p300)、他者と関係性を気付くことで自分を壊したいという欲求があるからだ。そうやって自分の枠組みを超えて他者と繋がり、未来に橋渡しをしていくこと、これが進化していくことなんじゃないかなと思うんだ。本書を読んだときに、<観光>と<家族>がどう繋がるのか最初は分からなかったけど、進化の話と考えると腑に落ちた。
読書会でもみんな「難しい」と言っていた。難しい本だとみんなウンウンうなるばかりで盛り上がりにくいから、もっと分かりやすい本が課題本になってほしいなあ。
本書は一番最後に English Abstracts(英語での要約)が付いている。ここには短くエッセンスがまとめられているので、ここをじっくり読めば本書を理解できるはず。
あるいは東さんの他の著書を読もう。前述のように共著は特に読みやすい。同じ著者の本を読めば著者の視点に近付くことができるので、難しい本も理解しやすくなる。下手に他の著者の哲学の入門書を読むよりも効果的だと思う。