[読書メモ][Kindle]『ショッピングモールから考える: ユートピア・バックヤード・未来都市』
- 読書
- 2017/08/08 Tue 07:51
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商店街の「顔が見える関係」が老人や障害者にやさしいと言われますよね。でも逆にそれは、子育て世代やニートにはキツい環境なのではないのか。
Location: 173
ファミリーレストランにはファミリーがいない。仕事中に休憩している営業マンとか、ダメ学生とか、打ち合わせの編集者みたいなひとばかり。ではファミリーはどこにいるのかと言えば、みんなフードコートに行く。ファミレスで小さい子が騒ぐと、「ほかのお客様の迷惑になりますので」と怒られてしまう。それに対してフードコートだと、周りもお母さんだらけだし、隣にアンパンマンのデカい遊具があったりして子どもが騒いでも問題ない。
Location: 234
面白かったのは、モールなのに買い物袋を下げているひとが意外と少なかったこと(笑)。みんなじつはなにも買っておらず、時間つぶしにきている。まさに公園ですね。
Location: 243
昔は海外旅行では、その街のどこになにがあるのかを知るところから旅が始まっていた。そこにすごく時間がかかったのが、モールではまったく必要ない。不思議な空間ですね。
Location: 501
一般的に、物事が同じであることの重要性は理解されにくい。とくにサブカル好きなひとたちは、物事が多様であり差異化されていることが大切だと思っていますよね。でも彼らに足りないのはまさにこの感性で、ぼくは同一性にぐっときてしまう。
Location: 503
言語も宗教も政治体制も違うのに、ショッピングの実践では同じというのはすごい。大げさではなく、これは人類にとって大きな可能性ではないでしょうか。
Location: 715
日本人は電車の車内マナーについてすごくうるさい。ヨーロッパに行くと、地下鉄内でいきなり物売りが回ってきたり、だれかが歌を歌い始めたりとけっこう自由にやっているでしょう。それが日本の場合ベビーカーを持ち込んだだけで大騒ぎになる。
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機内はハイジャック防止のためにコックピットと客室は完全に切り離されているから、往々にして副操縦士との二人旅のような気持ちになるのだという。
Location: 802
ディズニーランドには「イッツ・ア・スモールワールド」というライドがありますが、あれはまさにディズニーの思想を体現していますね。世界全体がアトラクションのなかに収まっている。外部と内部の関係が転倒している。
Location: 964
最近、一九八〇年代の梅棹忠夫の海外講演の原稿を読みました。そこで面白かったのは、梅棹がそこで、「日本人は世界中からものを買い付けているのに、自分たちはぜんぜん情報を発信しない、だから謎の民族だと思われている」と言っていることです。
Location: 1,212
地位やお金を持っているひとが早い乗りものに乗ることをカッコいいと思う感覚ってありますよね。
Location: 1,317
今後ショッピングモールやテーマパークを考えていくためには、ディズニーワールドの達成を前提にしないと、大事なところを間違えてしまうと思うんです。テーマパークはいい意味でも悪い意味でもここまで行くんだぞ、と。
Location: 1,444
エレベーターに乗ってしまうと、自分がどのフロアにいてどのフロアに行きたいのかが強く意識されるのだけれど、エスカレーターはフロアの延長のような機能を果たす。
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日本でカーナビが発達したのは当然だと思うんです。それは技術の勝利でもなんでもなくて、もともとちゃんと住所を通り名で管理しておけばカーナビなんて使わなくてもよかった。田んぼのコンセプトで街を作ってしまったから、こんな技術を投入しなければならなくなったのであって、それを誇るのは倒錯です。
Location: 1,618
ぼくらは自分がいったい何キロ歩けるのか、全然把握していないということですね。
Location: 1,646
われわれ日本人は、知らないひとといきなりしゃべるプロトコルというものを訓練されてない。これを突破できるのはおばちゃんです。
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東京にいるとなかなかスケールを感じることがない。
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家という「私的」な空間と会社という「公的」な関係が分離したのは、意外と最近のことかもしれません。昭和四〇年代くらいまでは、飲み会のあと同僚を家に連れていくのもまったく不自然な行動ではなかった。
Location: 1,846
これは哲学的に言うと「顔」の問題なんですよね。顔はたしかに自分のものです。しかし同時に、顔はつねに外に曝されているじゃないですか。世界のなかで生きるかぎり、顔を出さないわけにはいかない。そもそも顔は完全に自分のものかと言えるかといえば、それだってあやしい。いまはどこにでも鏡や写真があるから、自分の顔を顔として認識することができるけれど、むかしは自分の顔をきちんと見ることができるのは他人だけだったわけです。となってくると、顔はむしろ他人のものだとすら言えないか。
Location: 1,851
人間の歴史においては、むしろ自己像が他人に属するほうが標準的なありかたで、ぼくたちはいま、自分のイメージをたえず自分でチェックできる、かなり変な時代に生き始めている。
Location: 1,881
撮るのならば真剣に撮るべきです。すばらしい写真でなくてはいけない。そこは妥協しちゃダメです。
Location: 2,116
タイトルが示すように、ぼくたちは本書でショッピングモール「について」考えているのではない。そうではなく、ショッピングモール「から」考えようとしている。
Location: 2,134
ぼくは当時、思想とか批評、というよりももっと広く「文系の知」というものは、もっともっと自由になるべきだと考えていた。書き手はもっと若くならなければならないし、話題はもっと多様でなければならないし、読み手はもっと広がらなければならないと考えていた。
Location: 2,147
いま注目の若手論客たちも、年齢こそ若いが、大衆の期待に過不足なく応える賢いタイプが目立つ。
ショッピングモールから考える: ユートピア・バックヤード・未来都市 | 大山 顕, 東 浩紀 | Kindle本 | Kindleストア | Amazon
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