p13
日本では欧州にあるような意味での知識人へのリスペクトが、存在しないのです。

p34
先進国では、モノの豊かさが達成された近代成熟期になると、何が不幸かについては「死が怖い、病気が怖い、飢えが怖い」という具合に合意しやすいのに、何が幸いかについては簡単に合意にしにくくなります。すると、モノの豊かさ故に基本的不幸が手当てされたはずなのに、幸せより不幸を焦点化したほうが政治的動員が効率的になります。だから先進国では過剰流動性ゆえの不安を利用した「不安のポピュリズム」が増殖します。

p60
社会学者としての私の目標は、人びとの社会認識のレベルをあげることです。

p103
「男女平等」といった用語は性同一性障害者の事例などのセクシュアル・マイノリティに所属する人びとに疎外感を与えかねないという意味からも、はっきりと反対である。

p46
「苦労すること」自体が目的化していることだ。

p312
人間は他の霊長類と比べて幼少期が極端に長くなっていますから(これを生物学ではネオテニー=幼形成熟という。とりわけ日本人を含むモンゴロイドは他の人種に比べてネオテニー化が進んでいる)

p345
概して学校は、タテマエが重んじられる場である。

p393
嫌韓、嫌中、反フェミニズムのように、一昔前だというのをためらわれたようなことでも、ケロっといってしまえるような風潮も、「<抑圧・隠蔽されてきたホンネ>を話せるオレらってイケてる」というヒロイックな自意識によって支えられているような気がします。

p407
現実のフェミニズムが進んでいったのは、差異の否認ではなく、差異の承認の方向でした。