[読書メモ]『ライフログのすすめ』

p34
人類最大の発明は言語だ。知識を表現し、蓄え、共有する方法として他に類を見ない。

p41
自分の日々の行いを他人に閲覧してもらうためにウェブ上にアップする人のことを、ライフブロガーと言う。

p64
記憶をなくしたくない。僕がほしいのは完全記憶能力だ。

p50
古い書類がぎっしり詰まったファイリング・キャビネットや数え切れないほどの書類箱。僕は特にこいつらを何とかしたかった。電子的に記憶してしまえば、本当に捨ててしまうことなく、こいつらとおさらばできる。

p56
僕が目指しているのは実際に読んだすべてのものを記録することで、送られてきたものすべてを記録することじゃない。読む価値があるかを決めるのは僕であって、やつらじゃない[…]。

p86
僕の生物学的記憶では、アイヴァンとの関係はマンネリ化してしまっていたが、電子記憶が二人の過去の重要性を復元する役目を果たしてくれたおかげで、アイヴァンの誕生日を祝うにふさわしいスピーチができた。

p97
多忙な人は、いろいろなことを考えながら過ごしているせいか、注意が散漫になりがちだ。

p130
僕はよく、「私を覚えていますか」__あいにく、僕にとっては記憶の彼方なのだ__ではじまり、次に「お願いごと」が並んでいる電子メールをよく受け取る。

p160
四六時中、電池交換の心配をするのはもう勘弁願いたい。

p204
僕はたくさんの記念の品や思い出の品を持っていて、たいていのものはデジタル化したほうが楽しめることがわかっている。僕がデジタル化して電子記憶を楽しんでいる一方で、ほとんどの人の実物の思い出の品は屋根裏部屋で埃をかぶっている。実物を持っていても、そんなものさ。

p236
この事件が僕にたたき込んだのは、バックアップを取らない限り、何だって失う覚悟がいるという教訓だった。

p239
ハードウェアや OS やアプリケーションを全部、いつでもエミュレートできるようにするしかない。そうすれば、昔のプログラムを実行して、ファイルを開くことができる。

p246
世界はすでに記録されることに合わせて変化しつつある。

p252
今日の米国では、裁判の証拠開示手続きの一環として、日記の提出を求められることがある。もし電子記憶がデジタル日記の一種であるとされるならば、きっと同じように扱われることになる。しかし、最近の判例によると、自己負罪拒否特権を侵害することを理由に、ハードドライブの暗号化キーを明かすように所有者に強要することはできないとして、国が敗訴している。裁判には紆余曲折があったが、裁判の見解では、「電子ストレージデバイスは、我々自身の記憶の延長線上で機能する・・・・・・それらは、ほんの気まぐれな思いつきから心の奥底の感情までといった、我々の思考を保存できるのである」。この判例からは、いずれ法律が彼らのデジタル記憶を保護してくれるようになるかもしれないという希望の片鱗が示された。

p265
一年以内にペーパーレスになることを目指そう。すでにある紙をスキャンしていく一方で、スキャンしなければならない紙を減らすべく、これからは最初からデジタル化された形で受け取れるように手配しよう。明細書や請求書、連絡は全部オンラインでしてほしいと依頼するのだ。電話、水道、ガス、電力、ケーブルテレビと言ったサービスを提供している会社はこぞって、紙の請求書の送付(郵送料もかかることだし)を喜んでやめてくれるだそう。それを断るような会社なら、先は長くなさそうだ。

p268
新しく電化製品を購入したら、ウェブから電子マニュアルをダウンロードし、紙のマニュアルは捨ててしまおう。紙のマニュアルをどうしても何冊かはスキャンすることになるだろうが、その数は年々減っていくはずだ。メーカーは結局、顧客からの電話で従業員の時間を割かれるよりも、ファイルをダウンロードしてもらうほうが楽なのだから。

p322
コミュニケーション手段はばらばらではなく、統合すべきだということに賛成してもらえるならば、ついでに、ストレージも統合されるべきだと言いたい。何を探して、オンラインサービスやコンピューターの間を飛び回らされるのは、もう勘弁してほしい。

p323
外国語の翻訳をしたことがればわかると思うが、単語から単語へと翻訳するだけでは埒があかない。「心は燃えても、肉体は弱い(The spirit is willing but the flesh is weak)」ということわざを「酒はうまいが、肉はまずい」と訳してしまうようなものだ。

p327
ちょうどこの本を書いている最中に、大英図書館のデジタルライフ会議で基調講演をしてほしいと依頼された。未来の図書館が、紙ベースの本ではなく、どのように電子記憶を蓄えていくべきかについて興味深い議論が交わされた。しかし、技術的な委細を議論しつくしたところで、その背後に浮かび上がってきたのは実に大きな問題だった。つまり、大英図書館は誰を救命ボートに乗せて、誰を見捨てるのか、ということだ。ストレージ容量が驚異的に増え続けているとは言っても、図書館のストレージ容量には限界がある。

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