猫町倶楽部の読書会に参加してきた。この読書会への参加は5回目だ。

課題本はリンダ グラットンとアンドリュー スコットによる『LIFE SHIFT』だ。

原題は “The 100-Year Life” だからなんで『LIFE SHIFT』なんだと言いたくなるけど、2012 年の『WORK SHIFT』がたくさん売れたからそれに「あやかって」いるんだと思う(そもそも『WORK SHIFT』の原題も “The Shift” だから日本語タイトルはダサい)。原題を尊重するなら『100 年寿命の生き方』みたいにしたい(私は一応翻訳の仕事にも関わっていたことがあるので、翻訳は気になる)。

課題本(紙の本)をネットで買ったあと、ふと自分の Kindle を見ていると未読の『LIFE SHIFT』が入っている。電子書籍を買ったことをすっかり忘れていた。まあ、いいんだけどね(読書会後に紙の本は売ってしまえばいい)。最近は電子書籍で本を読むことが多くなったし、自宅のスペース上の制約から紙の本は持ちたくないけれど、読書会では紙の本を持って行くようにしている。みんなで話をする際は、紙の本の方が便利だからだ。

課題本は2回読んだ。1ヶ月ぐらい前に1度読み、2回目を読書会直前に読んだ。初読と2回目の間に関連本を読む。読書会参加前の準備はそういうスタイルにしている。

リンダ・グラットンさんの本は『LIFE SHIFT』以外に『未来企業』と『WORK SHIFT』を読んだ。私は彼女の本の中では『WORK SHIFT』が一番好きだ。脱サラした私には新しい働き方についての内容が共感できたというのもある。またサンプルモデルの提示の仕方もうまいと思った。同じシチュエーションで、まだ時間が細切れでなかった 1990 年と 時間が極度に細切れ化された 2025 年でモデルを比較している。どちらも現在とはかけ離れているので、「昔はそうだったのか」と「未来はこうなるのか」と2つの発見があった。

今年はもっと洋書を読もうと決めたので原著にも挑戦。といっても読み始めたのが読書会当日だったので、慌てて Kindle でダウンロードして読んだ(読みたいときにすぐ読めるのが Kindle のいいところだ)。基本的に私は速読をするので(このことはまたいつかブログに書きたい)午前中に読み終えることができた。日本語で読んでいたのもあるけど、分かりやすい英語だったので、洋書にしては読みやすい本だった。

Amazon.co.jp: The 100-Year Life: Living and Working in an Age of Longevity 電子書籍: Lynda Gratton, Andrew Scott: Kindleストア

さて、本書を最初に読んだときに思ったのは、「まだ死にたくない」だった。寿命のことを考えると死について考えてしまう。まだまだやりたいことはたくさんあるし、その一方で 30 歳を超えてから微妙に体力が衰えている(読書会から帰宅したあと、少しだけ血尿が出てますます不安になった)。さらに自分だけではなくて両親ともあと何十年も一緒にいられるとは限らない。こうやって、本書のテーマとは関係ないけれど、死について深く考えてしまい、こわくなってしまった。

去年の9月の読書会の課題本はジャック・アタリの『危機とサバイバル』だった。あの本は「大変だ大変だ」と騒いでるだけの本に思えたし、暗い気持ちになった。しかし、『LIFE SHIFT』は「そこまで未来について絶望しなくていいよ」と言ってくれているように思えて安心できた。

また、親の古い価値観やサラリーマン時代に経験した会社の現状維持体質にうんざりしている中で、本書のような「(時代の変化で否応なしとはいえ)変化が要求されているんだから、どんどん意識を変えていこう」という前向きな感じが、私は好きになれた。

読書会のテーブルでは「取捨選択」についての話が盛り上がった。自分がいかに時間を使うのか、そしてどんな人と付き合うのか、きちんと見極める必要がある。私はテレビをやめた。お酒もやめた。スマートフォンはカメラとしてだけ使い、電話を始めその他のアプリはほとんど入れていない。電話は IP 電話にして受けた電話はすべて留守番電話に転送して、必要な相手のみに自分のタイミングで折り返し連絡をしている。脱サラをしてはっきり分かったのが、もっとも大事な資産は時間であることと、自分の足を引っぱるドリーム・キラーとは付き合わないようにすべきだということだった。サラリーマンってのは、だらだら仕事をしているし、ムダで自分に悪影響を与える付き合いが多いんだよ・・・。

テーブルでは本書が恵まれている環境にいる人の話だという意見があった。確かに本書の提言には「私にはムリです・・・」と思ってしまう人もいそう。その一方で、そこで「私には関係ない」と思うのではなく、自分とは違うポジションのライフスタイルを学べたという点で、これこそ読書の醍醐味を味わえると思う。

サラリーマン時代に嫌で嫌で仕方がなかった飲み会の思い出があるので(退職の大きな要因の一つだ)、懇親会は基本的に好きじゃないんだけど、運営スタッフの一員になったことだし、今回は懇親会に参加してきた。